第3話
深い闇と濃い霧はどちらが恐ろしいのだろう
そしてどちらが優しいのだろう
彼女は彼という鋳型に流し込まれた
視線にこれ程のGがあるとは分からなかった
心に臭いがあるとは気がつかなかった
まばたきをすることなくこんなに瞳を見開いていられるとは知らなかった
敵を持たぬ獣は獣と呼べるのか
時間は時計を見なくても進んでいる
時間が進んでも時が進まないことがある
無は永遠か一瞬か
地獄の罠は天国だった
周りが変わったのか自分が変わったのか
声を荒げるほど静寂が拡がる
憤るほど冷静になる
目と所作と更に背中さえも雄弁になった
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