第16話

「え?」


「方法っていうか言い伝えなんだけどよ」


そう言いながら空河さんは頭を搔く。


「『死んだ者を目に映すのは人を殺さなければ見えない』っていう言い伝えなんだ」


「そう考えればよぉ、お前の家族も人殺ししたってことだな」


「だったらお前の姉とあんま変わんねぇくせになぁ」


「お前はそんなやつの子供に産まれて災難だな」


笑いながスラスラと言葉を並べていく。


が、驚くことがありすぎて頭が追いつかない。


耳に入ってこない。


「その顔、『この人何言ってんだろう』って思ってんだろ?」


「残念だな、これは本当の言い伝えだ」


「もしかしたらお前の家族も前から知ってたのかもな?」


「梨沙も父も兄も全員、お前以外は知ってたのかもなぁ?」


嘘だ。


絶対に嘘だ。


これが真実かもしれないと考えてしまう自分を心から否定する。


上手く息が吸えなくなる。




" きっとこれは嘘だから "


望んでしまう自分が嫌いだ。


それより、お父さんが殺人を...?


お兄ちゃんも?




もしかして...陸久も?

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