第8話

「これなんだけど...」


そう言いながら私はさっき見ていた新聞を見せた。


「水戸さんの名前...」


「でもどっちが本当なんでしょうか...」


「何か覚えてないんですか?」


私はうーんと唸りながら何かを思い出そうとした。


「多分...どっちも合ってると思う」


「片方じゃなくてですか?」


「うん」


「でも私の首に締め跡が無いのが気になるんだよね...」


「確かにそうですね」


「やはりお姉さんを探した方がいいのでしょうか?」


「その前にさ、さっきなんの記事読んでたの?」


「記事ですか?僕は...何も読んでませんよ?」


そう言いながら陸久はニコリと微笑むが、


どことなく恐怖心を掻き立てられる。




というか陸久の顔、誰かに似てるような気が...。


そう思いジロジロと陸久の顔を見ていると


「何ですか?何か付いてますか?」


と言われた。


「なんか誰かに似てる気がしたんだよね」


そう正直に答えると


「.......きっと気のせいですよ」


謎の間があったのが少し気になる。


というか私の家...


私の姉の場所はどこだったっけ?


早く思い出さなきゃ色々と進まない...。


都会でも田舎でも無かったような...。


「あ!!」


「○△町5丁目!」


「何がですか?」


「私の家!」


「そこにお姉さんがいるってことですか?」


「多分...」


「じゃあ早速向かいましょう」


「うん!」


「あと水戸さん、図書館では静かにしましょう」


「あ....ごめん...」


周りを見ると人の視線が痛いほど刺さる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る