第5話

「ねぇ、陸久はあの人があの肩車の子のお父さんだと思ってる?」


「違うんですか?」


一見、お父さんに見えるが、


だとしたら何故あの子は黒いのだろうか。


もしかしたらあの人はお父さんじゃなくて...。


「可哀想...」


そう私が誰にも聞こえないような小さい声で呟いたが、


「何がですか?」


陸久には聞こえていたみたいだ。


とんだ地獄耳だ。


「あの人はお父さんじゃなくて、多分...」


「多分、なんですか?」


「ええと...誘拐犯..だね」


「えっ!?」


「どどどういうことですか!?」


「あの幽霊、黒いもん」


「黒い、ですか?」


「うん、きっとあの男性のことを恨んでると思うよ」


「てことは悪霊ってことですか?」


「まぁ、そんな感じだよ」


「あの男性はどうなるんですか?」


「うーん...分からないけど、あの幽霊が呪い殺す可能性もあるかな...」


「...幽霊って怖いですね」


「悪いことをしなければ何もしてこないけどね」


「そういうもんですか?」


「うん」


「ならいいんですが...」

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