ウインター・マーブル・ガーデン

秋色

第1話 忘年会の後で

 忘年会がクリスマスの翌日なんて誰が決めたんだろう? もう年の瀬も押し迫り過ぎて、忘年会の気分も失せている。

 僕はそんな忘年会に参加したが、二次会には参加しなかった。その代わり路地裏へと足を向けた。そこに、もう一度行きたかった店がある。

 以前一度訪れた際、店のマスターが僕に示した反応が、何だか訳ありっぽく謎めいていたから。まるで誰か、知っている相手と間違えたみたいな、ソワソワした感じ。それを確かめたくて、いつかもう一度訪れようと心に決めていた。今年最後にそれを確認しに乗り込むというところ。

 店の人の微妙な態度が気になるからという理由だけで、わざわざ電車に乗って店に向かうのもおかしい。

 忘年会帰りのような、勢いで寄れるきっかけを探していたんだ。店の名前はウインター・マーブル・ガーデン。

 外のガラス張りから中が見えるカクテルバー。


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