第16話

「さ、佐倉井さんっ…俺で良かったの?芹澤、なんか不服そうにしてたけど…本当に俺と一緒に帰って大丈夫?!」



「……ごめんね。私の嫉妬とワガママに付き合わせて、、本当にごめんなさい」




学校を出てから…気まずそうに隣を歩く早乙女氏を見て、何の関係も無い彼を巻き込んでしまったことを深く後悔した。




「いや、いいんだ…佐倉井さんみたいな綺麗な女の子と一緒に歩けるなんて、何かのイベントでランウェイを歩くよりずっと嬉しくて自慢だよ」




落ち込んでいる私のことを励まそうと思ったのか、訳の分からない発言をしている早乙女氏が可笑しくて…つい笑ってしまった。




「うん…その顔っ!佐倉井さんはやっぱり笑顔が一番可愛らしいよ。ほら、芹澤も笑ってる佐倉井さんの方が好きだと思うから…元気だしてね」




由吏が私のことを好き、なんて。そんなこと…あるはずが無い。だって私が頼み込んで彼女にしてもらっただけで…由吏の口から”好き”なんて言葉を聞いたことは一度だってないのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る