第3話

「知らない天井だ・・・」


目が覚めると6畳程の木造の部屋にある簡素なベッドで寝かされていた。ベッド脇にはいつも掛けているメガネと初めてみるスマホっぽい端末、恐らくこれは神端末とやらだろう。それからペットボトルに入った水とメモの様な物が置いてある。


色々と疑問はあるが神様が言っていた安全な宿屋とやらにいるのだろう、そうであればまずは何らかの指示が書いてあるメモを確認した方がいいだろう。しかし子供の頃からまぁまぁ近視が強かったのでそのままでは距離と字の大きさからメモに書いてある字が読めない、見た目はいつも掛けているメガネと全く同じなので危険はないと判断して普段通りメガネを掛ける事にした。


【・・・神武装起動・・・神情報更新・・・初期設定開始します・・・読み込めませんでした・・・神端末と同期してください】


「なんだ!?誰!?」


誰かの声が急に聞こえてきた、いや声というよりかは音?違うな、説明が難しいが脳に直接音声データを叩きこまれたようなそんな感覚だった。


【こちらは装身具型武装及び眼鏡型神工知能専属サポーター、初期名称『神眼鏡』です。神端末の初期設定及び同期が完了していません。まずはメモに従って神端末の初期設定を完了させてください】


いや、メモ見る為にメガネかけたらこうなったんだが、まぁ仕方ない。はっきり言って現状に全然理解が及んでいないが言われた通りにやってみる。神様もあとから質問出来るって言ってたし、恐らくこの神眼鏡とやらが教えてくれるのだろう。


「なになに?『まずは神端末を起動し初期設定を行いましょう』だって?」


神端末とやらを手にすると光と共に宇宙から見た地球がぐるぐる回っているような画面が表示され、少しすると軽快な音楽とあの女神の音声が流れ始める。


『選ばれし500人の冒険者よ、ここは新たなる世界パラレルワールド16384番。まず初めにあなたの名前を教えてくださいませんか?』


「えっと、本名でいいのか?鏡賢一郎です」


『鏡ですね?あなたには神より特別なスキルと武器が与えられました。まずは自身のステータスを確認してください』


画面がパッと切り替わり名前等が書いてある個人情報のようなものが表示される。


「鏡賢一郎、20才、男、ジョブ『メガネ使い』、所持ポイント100,000、ランキング500位、スキル『眼鏡店召喚』、武装『神眼鏡』、サポートキャラ『眼鏡型神工知能』これが俺のスキルか、スキルが眼鏡店ってどういう事だよ・・・」


次のページはゲームでよく見る八角形のステータスのような画面だ。


ちから1・ぼうぎょ1・すばやさ1・きようさ3・せいめいりょく1・まりょく2・みりょく1・うん1


「絶対生産職じゃん・・・」


これが高いか低いかは正直分からない。分からないが剣も盾もない人間にモンスターとやらが倒せるとは思えないので俺の適性が戦闘職ではない事は確定だろう。


次のページには今の会話が文字に起こされているようだ、画面の左上にログと表示されている。更に次の画面は通信アプリの様な造りになっていてメールのマークの所に赤く①とついている。


『自身のステータスは確認出来ましたか?今後はこの端末を使ってステータスの割り振り、神や他の参加者との交流が出来ます。大切なお知らせが届く場合もありますので必ず新着メッセージは確認してください』


「わかりました」


とりあえずこれで神端末とやらの初期設定は完了したらしい。メモを読むと次は神武装を手に取って端末と同期させて同じ様に初期設定をするように書いてある。それが終わるとそれぞれの専属サポートキャラが起動するそうだ。


「個人差があったとしてもメガネがそんな事になるなんて想像出来んだろう、しかも武装がメガネってどういう事?」


なんだか進化したらしい俺のメガネは現状普通のメガネにしか見えない。いや、勿論掛けたらしっかり見えるよ。だけど普通武装って武器や防具の事でしょ?それなら剣とか盾だよね?


【・・・神情報更新・・・同期が完了しました・・・初期設定が完了しました。これより端末からいつでも名称の変更が可能です。ただし名称の変更は7日に1度となっておりますのでお気をつけください】


なんだろう、この念話みたいなのに違和感を感じてない自分が怖い。


【現在自動心読返信モードです。転生時にある程度の認識改変がされています、これは時間経過と共に効果が弱くなり思考への影響はなくなりますのでご安心ください】


「どういうこと!?うんうんって思っちゃったけどやばくないの?というか何そのモード」


【過去の参加者が覚醒と同時に舌を噛み切る、自暴自棄になる等の問題が多かった為皆様の安全を考えてこういった措置が取られています。また、サポーターにはいくつかのモードが用意されています、端末より各項目の確認・変更が可能です】


神端末はまんまスマホのような操作感なので違和感なく確認が出来た。出来たが、なんで?おかしくない?


【地球とこの世界には互換性があります。これまでのサバイバルによってよりスムーズに運営出来るよう、普段からスマホに触れ、ゲームで遊び、異世界物の小説を読むように遺伝子レベルでサバイバル完了時にお互いの世界でバージョンアップが繰り返されております。参加者は特に適性が高い人物からまったく適性がない人物まで作為的に選ばれます、鏡様はその中でも特に適性が高いグループのようです。その為この状況への適応が早いのでしょう】


「遺伝子レベルって・・・地球って実はそんな事になってたんか・・・」

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