第11話 アレを買いに行こう!
「ルキア……大変よ」
大きな王都の街は、石畳に舗装された洗練されたような街並みだった。人も多くて、貴族たちが多く行きかっている。
あまりの大きさと美しさに圧倒された。そして、店が全く分からなくて呆然と立ち尽くしていた。
目深に被ったフードの中から、ルキアが少しだけ顔を覗かせた。
「くるぅ」
「えっ? あっち?」
ルキアが指さした方角を見れば、見取り図のような街の簡単な地図が立っていた。
「えらいわ。ルキア」
そっとルキアを撫でるが、地図を見ても何もわからない。どうしようと、困ってしまう。
「ルキア。お店を知っている? 薬の匂いでもしないかしら?」
「きゅ!!」
ビシッとスライムのぷよぷよの手でルキアがまた指さした。
「あっち? その自信はどこから来るのかしらね」
だけど、私は街を何も知らない。とりあえず行ってみるしかない。右も左もわからないのだから。
「信じているわよ。ルキア」
そうして、ルキアが指さした方角へと俯きながら走った。
♢
「……あれは、何をやっているんだ?」
「さぁ? 突然下を向いて走り出しましたね」
リヒャルトと忍びで街の視察へと来れば、ミュリエルを発見した。何と思えばいいものかと、呆然となる。
「しかも、向こうは人気のない裏路地ですね。誰かと逢引きでしょうか?」
「さぁな。お前は先に帰れ」
リヒャルトに素っ気なく応えた。
♢
「ルキア……本当にこっちに薬屋があるの?」
「くぅぅ」
「よくわかってないのね。あの自信はどこからきたの?」
裏路地に来てさらに困ってしまう。ひと気が怪しい路地だ。周りは不穏な男性ばかり、ニヤリと視線を向けられると、びくりと身体が強張った。
どうしようか。なぜか自信満々のルキアの指さした方に走ってきた。『魔眼』を見られないようにと、下を向いて……ちらりと周りを見れば、女性が走っている。
女性なら道を聞きやすいかもとホッとして思い切って声をかけた。
「あ、あのっ……」
「なに?」
不愉快そうな顔で女性が足を止めた。胸元が開いた派手な洋服。ドレスにしてはくすんでいた。
「……借金取り? こんなところまで……しかも、女をこんなところに来させるなんて……」
「借金取り? ち、違います! 道をお聞きしたくてっ……」
「迷子?」
「す、すみません。右も左もわかりません」
呆れた様子で、女性が私を見下ろす。でも、私が借金取りではないとわかったらため息交じりで話しかけた。
「ここは、あまり女が来るところではないわよ。娼館があるからね。行きたいところはどこなの? 少しだけ待ってくれたら、中心街まで案内してあげるわ」
「本当ですか?」
「で、どこに行きたいの?」
「く、薬屋?」
「その自信なさげは何なの? 本当に薬屋に行きたいの?」
「どうしても欲しい薬があって……」
「何の薬?」
「ええーっとですね……その……夜のお供に使う薬をですね……」
言いにくくて声がくぐもる。でも女性は私が話すのをじっと待っている感じだった。
「セレス。金はできたか?」
「あんたたち……」
ニヤニヤする不穏な男三人が、いつの間にか私とセレスと呼ばれた女性を囲んでいた。スーツ姿なのに、どこかガラが悪くて、女性を心配気に見た。
「お金なら、今から換金するところよ。そんなに急がないで」
「だが、時間が来ている」
ニヤニヤしている男の一人が懐中時計を開いて言う。
「セレスさん?」
「私の名前よ」
セレスさんと男たちが、私を挟んで睨みあう。
「あの……もしかして、私のせいで時間が過ぎてしまいましたか?」
「そうだけど、そうじゃないわ。これはいちゃもんよ」
「だが時間は、10時までのはずだ」
「たった数分すぎたぐらいでガタガタ言わないで欲しいわね。どうせ、約束の10時には来る気はなかったんだからっ……」
「わかっているなら、一緒に来てもらおう。坊ちゃんがお待ちだ」
「お断りよ!! 離しなさいよ!!」
セレスさんが腕を掴まれて抵抗した。それを止めようと、慌てて男の腕を掴んだ。
「や、やめてください! 嫌がっているじゃないですか!!」
「なんだ? この子供は!?」
「一緒に連れて行け! セレスの関係者だ!」
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