紗和と姫路大空襲について学ぼう!風化させてはダメ。

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 空襲とは何だったのか?

1945年6月22日、夜空が真っ赤に燃え上がり、姫路の街が消えた日。あの日、何が起こったのかを知りたいと紗和は思った。戦争のことは歴史の授業で学んだけれど、それは教科書の中の出来事。姫路という街に住む今、自分が歩くこの場所で起きた悲劇を知るべきだと感じたのだ。


姫路大空襲は、アメリカ軍による焼夷弾攻撃だった。約125機のB-29爆撃機が姫路市街地を襲い、一夜で街の63%を焼き尽くしたという。その背景には、姫路が交通の要所であり、工業都市としても重要視されていたことがあった。戦争の勝利を目指すためには、相手国の基盤を徹底的に破壊する必要がある――それが当時の戦争のルールだった。


「それがルール?人の命を燃やすことが、ルールなの?」

紗和は言葉にできない怒りを感じた。家や学校、友達との時間――それらが何のために奪われなければならなかったのか。資料に記された「約500人が死亡」という数字を見ても、その背後にある一人ひとりの人生を思うと胸が締め付けられる。


姫路空襲の映像や写真を見ると、瓦礫の中に立ち尽くす人々の姿があった。真っ黒に焦げた街並みは、今日の観光地としてにぎわう姫路とは全く違う光景だった。その中で特に目を引くのは、焼け野原の中に堂々と立つ姫路城の姿。あの白鷺のごとく美しい城が、なぜ無傷だったのだろうか。


「どうして姫路城だけ守られたの?」

紗和は新たな疑問を抱いた。それを知るために、もっと調べてみようと思う。


しかし、それ以上に知りたいのは、あの日の姫路の人々の気持ちだ。家族を失い、街を失い、それでも生きなければならなかった人々。その日々はどんなものだったのだろうか。姫路の空襲をただの歴史的な出来事として語るのではなく、人々の物語として理解したいと思った。


このエッセイを通じて、紗和は姫路大空襲を学びながら、読者と一緒に考えたい。空襲とは何だったのか、そして私たちがそれをどう未来に伝えるべきなのかを。次回は、子どもたちが見た空襲の夜について探っていく。

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