再会、親友一家


 舞台は実咲が総理の現世に戻って1939年11月頃。


 伊1026がマ島近海から大西洋に出てとりあえず捕虜返還のために中立国ポルトガル領のマデイラ島を目指していた頃、実咲は官邸の執務室でとんでもない、彼女の地元の方言で言うと"とつけむにゃあ"事態に正に(゜д゜)←こんな顔をして(ビュワーは横書きにして見てね)固まっていた。


「ゲートがどこに出るか分からん言われたけどまさかこことは・・・あ、実咲?おーい実咲ー!」


「びっくりしすぎて固まったごたんね」


「まあそらいきなり変な穴から異世界人出てきたらビビるって」


 で、実咲をどうやって起こそうかと相談していると、書類を持った菜生が入ってきてこちらは驚きはしたが固まったりせず、実咲の前で以前ラジオで放送された録音の戦艦長門の16インチ主砲(空砲)発射音を流して起こす。


「菜生、それ実咲の耳大丈夫・・・?」


「まあ録音で実際のより音量抑えてあるし。ちゅうか本物ならこんな近くで聞こえちゃっとる時点で私達も死ぬし」


「まあそうね・・・・・・あ、実咲起きた」


「・・・・・・はっ!私は何を・・・あ、やっぱ沙羅俊弥和也!」


「「「来ちゃった」」」


「来ちゃったって、え、家族揃って死・・・てわけじゃなさそうね。あ、まさか猿島のゲートから?」


「そうそう、セカケンでこの世界とあんた達ん事知って、和也が行くって聞かんで・・・」


 なんか子供にわがまま言われて遊園地かなんか連れてきたみたいな感覚で言うな・・・と思いつつ、あー沙羅ってこういうやつだったなと思い出す実咲と菜生。で、次に入ってきた八重にまた世界がどうこう説明して怪訝な顔をされた後、沙羅は実咲の手配でひとり宮中に赴く。


「なんで来たと?」


 が、千寿の表情は冷ややかだった。この世界では女帝となっている弟がそんな顔をする理由は、沙羅にはよく分かっていたがそれでも刺さるものは大きい。


「・・・ちーちゃん、お姉ちゃん謝らなきゃね。あの大戦を防げんかった、ちーちゃんやアメリー、お父さんお母さん、弦さん、美奈も・・・皆が死んでいくのを防げんかった。私のデタラメな希望的観測な外交のせいで・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・・・」


 床に額をついてひたすら謝罪の言葉を繰り返す沙羅を複雑な顔で見下ろす千寿。と、それを側で見守る侍従官が畏れながら・・・と口を開く。


「陛下、前世での呼び名で呼ばせていただきます・・・・・・千寿ちゃん、お姉ちゃんを許してあげて」


「規子さん・・・」


 その侍従の名に沙羅の耳がピクリと反応を示す。


「規子さんてあの・・・規子さん?」


「そうよ、沙羅ちゃんご無沙汰ね。千寿ちゃん、お姉ちゃんはあなたを助けに来たって分かってるんでしょ?」


「・・・だけん来て欲しくなかったな。実咲姉ちゃんもだけど、わざわざこんな世界に・・・・・・」


「いやなんさん和也が行くって聞かんでそんなら私達も行くって俊弥と・・・・・・」


「そんな日曜の家族サービスみたいなノリで世界線移動されても・・・ちゅうか実咲姉ちゃんから聞いたばってん、そっちじゃねーねまた総理なんでしょ?おらんくなって大丈夫?」


「あ・・・い、いやまあ別に影武者もおるしバレたっちゃあの国なら大丈夫でしょ」


 相変わらず楽観的だなこの人・・・と千寿と規子の心の声が一致した。しかしまあ、そんな沙羅でも一応は日本人の政治家、こちらの世界の現状を聞けばその楽観的思考はすぐに変わる。


「なるほど、この世界で第二次世界大戦を引き起こしたのはナショナリズムとかファシズムとかのそのものというよりその裏でホワイトハウスが・・・いやその白亜館もまた何かに操られてる可能性もあるな」


 そう言いながら、沙羅は自身最初の転生の時の記憶を思い出していた。


(あの時、私いやエリザベスが大統領になれたのはその噂で有権者が怒ってルーズベルトは支持率を大幅にさげて・・・実際、彼は日本と英国を分断して争わせて漁夫の利を得ようと・・・性別は違えどこの世界のルーズベルトもの・・・・・・だったら操るもクソもまっぽし・・・・・・)


「・・・ルーズベルトの首取ったところで、戦争は終わらんでしょ。実咲も分かっとるはずて」


「まあでも、アメリカ本土しかも首都攻撃のインパクトが合衆国市民に与える影響は大きいでしょ。それにこの世界ではまさか空からの攻撃なんてまずありえないしね。しかもその技術は日本が独占・・・それを餌に和平への道が開けるかもしれない」


「だといいんですけどね・・・」


 そもそもこの日本も同様に戦時中でも報道管制は緩く、その情報が敵側に全く漏れていないとは思えない沙羅は、今は東西に分裂して太平洋艦隊と西部の州軍がごっそり日本に寝返ったとはいえまだ地力は強いアメリカがそれを掴んだら・・・そしたら、この戦争は・・・・・・と一抹の不安を覚えていた。





 一方その頃・・・・・・



「空を飛ぶ機械・・・か」


 一般的にホワイトハウスと呼ばれるその建物の中で選ばれたものしか座れない椅子に腰かけた彼女はその情報に触れ、口の端を少し上げてポツリと零す。


「そうか・・・か・・・・・・サラ、ミサキ・・・ミヤマ・・・この世界では貴様らには・・・・・・っ!」



 つづく?












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