日英同盟拡大
1938年 春
日英同盟への独中露の参加及び米独仏協商からの独の即時離脱が公式にリリースされた。実咲の思惑によりこれはあくまで今回の新条約は軍事同盟では無いと参加国による共同声明が出された事によりそれほど諸外国はさしたる反応を示す事もなかったものの・・・・・・
「"諸国間の包括的協力強化という文言は軍事的意味も含むものであり、またソビエトロシアを加えた事は世界自由主義への挑発的行為である"か・・・我々が自由主義だからこそイデオロギーの違うロシアも加えたのにね」
「前世でも今世でもアメさんはアメさんね、自分達の正義を信じて疑わない、思惑通りいかなければ潰す・・・まあそんなアメさんとしても、さすがに今の状況で何か仕掛けようとは思わんだろうけどね」
「そうねえ、米海軍の拡張も実はなかなか進んどらんみたいだしね」
「米海軍省と一部議員、財閥資本の癒着を向こうのメディアにリークしたのがこうも効くとはね」
「そうねえ、これで大戦が回避できるならええばってんねえ」
「これでもまだ実咲の予測は変わらん?」
「菜生も分かるでしょ、戦争なんか何がきっかけになるか分からんけんな・・・北海からドーバーもまだ不安定、未回収のイタリア云々で仏墺伊の国境もくすぶっとるし、ポーランドとブルガリアは勝手にあちこちに喧嘩売るし。それでその欧州のアフリカ植民地の方でもまた・・・まじでこの世界カオスだわ」
「こっちもこっちでやっぱり東南シナ海方面はバチバチだしな・・・フィリピンが独立してこっちに付いてくれればいいけど、海上での中国との境界線問題があるしなあ」
「蒋(現在の中国首相)もまたあいつ中華思想つよつよだけん難しいなそこは、まあだけんて無理矢理フィリピン諸島占領なんてしたらそれこそ現地人に反発食らうだろうしやらんけど」
実咲の言う中華思想とは、歴代中国を統治してきた王朝などの思想の根本にあった、わかりやすく言えば"中国が世界の中心"的な思想の事である。
「中国が比島進出要請してきても?」
「当たり前でしょ、私は戦争したくないんだけん。比島だけじゃない、仏印・・・もとい越南に侵攻するから援軍出せって要求してきても日本からは一兵も出させんし、兵を動かす前に外交協議の場は私が設ける。南京でもサイゴンでもマニラでも私はどこだって行くよ、でもそれでも解決できないなら・・・・・・もう腹くくるしかないね」
「実咲お前・・・そうなってもお前に責任はないぞ」
「そしたら、責任は千寿に、畏れ多くも天皇陛下にあるって事にもなっちゃうでしょ。国民が国家ちゅうても、この世界でも皇室の歴史は長いから、その根幹がなくなったら日本は言語や文化が残っても全く別の国になる・・・と私は思う」
そう言われると、前世でもその君主制の日本に生まれ育ったいち日本国民として何も言えなくなる菜生。そして実咲の話した通り欧州もアジアもアフリカもアメリカ大陸もまたここから目まぐるしく情勢が変わっていき、ついに・・・・・・
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