第6話 失踪計画

 人がどんどん行方不明になっていく。

 それも、事件の目撃者が多い。

 最初は、

「何かの犯罪に巻き込まれたのではないか?」

 と思えた。

 しかし、こう行方不明者が多いのであれば、その理由は分かれという方が難しいことであろう。

 今回の、

「恋愛の縺れ」

 のような事件も、実際には、

「犯人が誰か?」

 ということは、桜井刑事の推理を待たずとも分かっていることであった。

 それを分かっているのに、桜井刑事は、目撃者を探し始める。

 一つ言えることは、

「今回の殺人事件で、犯人を検挙するのに、目撃者を必要としない」

 ということであった。

 他の刑事は、なぜ桜井刑事が、目撃者にそんなにこだわるのか、分からなかった。

 それは桜井刑事にも、ハッキリとした理由まで分かっているわけではなかった。

 しかし、若い頃に、目撃者の存在を軽視したことで、

「もう少しで冤罪を生んでしまう」

 ということがあったのだ。

 それは、今から20年くらい前の事件だったが。ある殺人事件があり、目撃者捜しというものを、桜井刑事と、もう一人の刑事で行っていた。

 数多くの目撃証言を手に入れることに成功はしたが、その証言は、

「相反する」

 というものも含まれていた。

 その証言を鵜呑みにしてしまうと、事件そのものが、辻褄の合わないものとなってしまい、

「どれかが、ウソなんだ」

 ということになるということであった。

 そして、そのうちの一つが、状況証拠や、動機などの面から考えて、明らかに犯人を示す証言というもが、その一つを除けば、理屈に合い、それが、

「決定的」

 という、

「動かぬ証拠」

 ということになったはずだ。

 しかし、その一つがあるために、警察の捜査は混乱した。

 他の刑事は皆、

「その証言がウソだということになれば、事件は解決なんだ。そんな少数派の証言を取り上げさえしなければ、事件解決ということになるではないか」

 ということを主張した。

 まだ若かった桜井刑事に逆らう余地はなかった。

 その人の証言は却下され、状況証拠と、握りつぶされたことでできた。いわゆる、

「動かぬ証拠」

 というのがモノを言って、

「容疑者逮捕」

 ということになった。

 しかし、容疑者は、取り調べに対して、

「自分がやった」

 ということはいわなかった。

「動かぬ証拠」

 というものを突き付けられても、

「自分はやっていない」

 ということを言い続けた。

 桜井刑事も、だんだんと自信がなくなってくる。

「少なくとも、彼が無罪だ」

 という証言は得られたのだ。

 その証言を誰も取り上げようとしなかっただけで、もし、他の証言がほとんどなく、犯人を擁護する証言がこの一つだったらどうだろう?

 他の刑事が信じないのは、

「動かぬ証拠の数がたくさんある」

 ということからなのか、

「彼を擁護する証言が一つしかない」

 ということからなのか、桜井にも分かっていなかった。

 だとすると、

「擁護する証言が複数あれば、彼を犯人ではない」

 という根拠になるかも知れず、事件を再捜査するということにもなったであろう。

 しかし、事件は急転直下、取り調べを受けている期間に、留置所の中で自殺したのであった。

「あれだけ証拠を突きつけられても、頑として自供しなかったやつが、なぜ急に自殺なんかしたのだろう?」

 と皆不思議に思っていたが、桜井刑事には分かった気がした。

 最初からずっと覚悟を決めて、黙秘権を行使していたが、そもそも、精神的に強いわけではない男であれば、その限界というものはすぐにやってくる。

 そうなった時に考えることは、

「この状況から一刻も早く逃れたい」

 ということであった。

 物証からすれば、もう助かる見込みがないと思ったのだろう。結果、

「死を選ぶしかない」

 と思ったに違いない。

 要するに、

「限界を突破した」

 ということで、桜井は、彼が、必死に黙秘を続けている時、

「彼は犯人ではない」

 と確証し、再度事件を自分なりに捜査し直したのだ。

 最初は、捜査本部から、

「お前は何をやっているんだ」

 と言われたが、その容疑者が、

「留置所で自殺を試みた」

 ということで、ショックも大きかった。

 だから、桜井刑事の行動を責めることはできなかったが、とにかく、

「被疑者死亡」

 ということで、事件を起訴するしかない状態となった。

 それで事件は終わったのだが、その後、別の事件で逮捕した男が、

「自殺した男の事件」

 というのにも、

「自分が関与した」

 と言い出したことで、捜査本部は慌てたが、結局、

「あの事件は、解決済み」

 ということで、

「死人に口なし」

 ということで、結局、

「握りつぶし」

 ということに遭ってしまった。

 これは、桜井刑事にとって、

「最大の黒歴史」

 ということであった。

「辞表を提出する」

 という寸前まで追い詰められたが、最後には思いとどまった。

「これは、結局、俺が最後の墓場まで持っていくしかない」

 ということだと観念したのだろう。

 ただ、この事件は、

「未解決として、曖昧に片づけられる」

 ということよりも、辛いことであった、

 だけど、曖昧に片づけられる事件の多さにもうんざりしていたので、

「それを少しでもなくす」

 ということが自分の使命だと、桜井刑事は感じたのであろう。

 人間には、少なからずの、

「黒歴史」

 というものが存在する。

 桜井には、それが、

「冤罪を生んでしまった」

 ということであった。

 この自殺の問題は、当然、報道されたが、

「なぜ、自殺をしたのか?」

 ということは、その時の捜査員と、上層部しか知らないという、

「トップシークレット」

 だったのだ。

 だから、マスゴミも、

「謎の、獄中自殺」

 などというタイトルで、関心を煽りはしたが、だからと言って、世の中は、

「人のうわさも七十五日」

 というではないか。

 次第に世間の関心も薄れてきて、

「そういう薄れてきたことを蒸し返すだけの材料がマスゴミにはなかった」

 ということで、他の話題に向かって、走っていくのであった。

 マスゴミというのは、そういうものだ。

 いつまでも、世間の関心をつなぎとめておけないことに、執着するということはないだろう。

「そんな暇があったら、新しい話題を探してこい」

 というのが、編集長の口癖なのではないだろうか?

 そういう意味では、

「いかに見切りをつけられるか」

 ということが問題なのだ。

 それを考えると、

「マスゴミというのも単純だ」

 ということになり、

「マスゴミというものは、本当に世間を煽るのがうまいので、食いつかれると厄介だが、うまく利用すれば、結構、うまく使えたりするのではないだろうか?」

 というのは、警察上層部の中で思っている人もいるかも知れない。

 実際に、

「警察の中に、諜報部のような秘密期間があれば、彼らであれば、うまくマスゴミを使って、情報操作」

 をするかも知れない。

「情報操作」

 というものを、

「必要悪ではないか?」

 と考えている人も多いだろう。

 そもそも、

「情報操作というものが、悪なんだ」

 というのは、どこから来たのだろう?

 昔であれば、当たり前に行われていた。

 もちろん、それは、大日本帝国時代のことで、それが、

「やむを得ない場合」

 という但し書きというものがついてのことであろう。

 今の、日本国における、

「日本国憲法下」

 では、

「言論の自由」

「報道の自由」

「宗教の自由」

 という、いわゆる、

「三種の自由」

 といってもいいものが補償されている。

 大日本帝国下の、

「大日本帝国憲法」

 というものの下でも、当然、自由が保障されているというのは当たり前のことであったに違いない。

 だが、それ以上に、

「戦時下」

 であったり、

「動乱の時代で、治安をまともに維持することができない」

 という時代になると、

「三種の自由」

 どころか、行動にまで自由が阻害されることになる。

 というものだ。

「行きたいところにも行けない」

「食べたいものも食べれない」

 さらには、

「国から、赤紙がくれば、戦争にもいかなければならない」

 ということで、

「肉体的に軍隊で耐えられるかどうか」

 という徴兵検査に合格しなければ、入隊したくともできないのだが、逆に、

「肉体的に問題ない」

 ということであれば、強制的に軍隊に入隊ということになるのだ。

 拒否はありえない。国民の義務というものだからである。

「国家のため、そして、天皇陛下のため」

 ということである。

 もし、

「徴兵検査で不合格になって、徴兵免除ということになった」

 とすれば、

「ああ、よかった」

 ということにはならない。

 なぜなら、その時点で、まわりからは、

「お国のために働くこともできない非国民」

 と言われかねないからだ。

 実際に、健康な青年たちは、入隊して、戦場にいかされ。結局、

「お骨となって返される」

 ということになるのだ。

 もちろん、

「英霊」

 ということになるだろう。

 だから、どんどん兵に取られて、戦争で死んでいく人が増えるのだから、

「戦争というものは、いったん初めてしまうと、簡単に終わることができない」

 というのは、

「こういう英霊の人たちのために、やめるわけにはいかない」

 という理由が大きい。

 だから、戦争継続という国家方針があれば、

「初志貫徹」

 のために、情報操作が、不可欠なのだ。

「死んでいった連中に、申し訳ないと思わんのか?」

 と言われ、人情に訴えられると、

「それに対して反対などできるわけもない」

 ということになる。

 それを考えると、

「俺たちにとっての戦争は、勝つか、玉砕しかない」

 と、敗色濃厚になってきたのを知っている人は、そう思うしかなかっただろう。

 だから、

「玉砕戦法」

 であったり、

「カミカゼ特攻隊」

 などということが行われる。

 実際に、

「捨て身戦法」

 というものを使い始めると、勝ち目がないということくらいは、誰の目にも明らかであろう。

 そもそも、

「初志貫徹」

 とは何なのか?

 日本が、宣戦布告した理由は、

「大陸に侵攻して、やめることができなくなった状態で、経済制裁が行われ、経済制裁をやめてほしければ、明治維新の状態に戻れ」

 というものであった。

 ただ、これは、不可能なことである。

 そもそも、

「日本の国土だけでは、人口増加問題に、対応できない」

 というのが一つの理由となって、

「満州事変まで起こして、満州を独立させ、そこを日本の傀儡国家ということにしたのではないか」

 ということであった。

 実際に、

「韓国も併合し、それを、アメリカやイギリスをはじめとする諸外国に、承認させたではないか」

「だから満州も」

 という考えは、無理があったのかも知れない。

 だが、満州国に関しては。

「自衛の範囲を超えている」

 と判断され、結局、

「国際連盟を脱退」

 ということになり、日本は、孤立することになったのだ。

 ここから先、日本は、ドイツ、イタリアなどの、

「ファシズム国家」

 と結びついた。

 主義主張が似たところがあるということであろう。

 日本の場合は、独伊のように、

「独裁国家」

 というわけではない。

 独伊の場合は、

「政府に、力を集中させ、独裁であっても、強い政府に国の命運を託し、自分たちの民族が世界に君臨する」

 ということで、

「侵略行為」

 を勧めてきた。

 日本にも、

「大義名分」

 というものがあった。

 それが、

「大東亜共栄圏」

 というもので、

「大航海時代からこっち、欧米列強に、食い物にされ、ほとんどの国が植民地化された状態である、東アジアというものを、日本が主導し、東アジアから、アングロサクソンを駆逐し、日本中心の、新しい秩序を作り出す」

 というものであった。

 ここでいう、

「日本が中心になって」

 ということが、

「ファシズムにおける、自分たちの民族が、一番優秀だ」

 という考えだ。

 そのための侵略というのは、ある程度やむを得ない。そもそも、それが、欧米列強に浸食されているところだからだ。

 だが、これは、

「欧米列強に対しての挑戦」

 ということであり、一種の、

「宣戦布告」

 に近いものであろう。

「日本という国が、そうなったのは、致命的に、資源というもののない土地に住んでいるということが大きな原因だったのだろう。

 かつての日本軍の中にも、

「特務機関」

 と呼ばれるものがあった。

 これは、軍に中でも結構重要な機関であり、相手が、共産主義であったり、反乱分子として認定したり、あぶりだしたりしたことで、いわゆる、

「反政府組織」

 の撲滅に繋がるのだ。

 世界各国で、スパイ合戦というものを行っていた時代である。それだけ時代が混沌としていて、

「民主主義」

 と、

「社会主義」

 という二つが、大きな影響を与える時代だったのだ。

 その傾向は、世界大戦後も大きく、特に、

「二大超大国」

 というものによる、

「東西冷戦」

 という構図は、

「核開発競争」

 という側面を持っていて、もっとも、危険でデリケートな時代だったのだ。

 そんな時代において、いかに治安を維持するか?

 これは大きな問題だった。

 特に、国内でも、

「外国から、日本の情報を得ようと、スパイがかなり入り込んでいる」

 ということもあった。

 ただ、日本も、この諜報機関について、かなりその力を発揮していた。

 特に、大陸では満州、朝鮮、そして中国の主要都市に、

「特務機関」

 というものを置いていたのだ。

 そんな特務機関が諜報活動を行っているというような映画がいくつか公開された。桜井刑事も、そういう映画を学生時代に何本か見た。かなり、

「特務機関」

 という映画であったり、

「諜報活動」

 というものに、興味のようなものがあったのは事実だ。

 そんな映画を見ていると、

「警察官になりたい」

 という気持ちになってきた。

 これは、志望動機としては、普通ならありえないことなので、誰にも言っていなかったが、これは、桜井刑事にとっても、一種の、

「黒歴史」

 といってもいいだろう。

 桜井刑事は、これまでの

「事件解決」

 というものに、どれだけの注力を重ね、力を尽くしてきたかということを考えると、この黒歴史は、

「封印しなければいけない」

 と考えるようになった。

 だが、実際に、この意識があることで、今までいろいろな事件を解決できたという意識は間違いなくあるのだ。

 それを考えると、

「諜報活動」

 というものへの興味を、ここで捨てるわけにはいかないと思う。

 しかも、最近あまり意識しないようになっていた諜報活動という意識を、この事件で取り戻したということは、今回の事件が、そういう発想から見ることが大切なのではないかと感じたのだ。

 諜報活動について、忘れていたというのは、意識して忘れたわけではなく、無意識に忘れていたのだ。

 それがどういうことなのかというと、

「きっと、自分の推理というものが、諜報活動というものにいかに影響しているかということを示しているのではないか?」

 と考えるのであった。

 実際に諜報活動がいかに行われていたのか?

 というのは、ネットのない時代には、なかなか分からない部分もあっただろうが、最近の値っとでは、かなりのところが分かってきている。

 それは、

「東西冷戦」

 というものが終わった時代と、ほとんど変わっていないということもあるからだろう。

 東西冷戦というのは、

「ソ連の崩壊」

 あるいは、

「ベルリンの壁の崩壊」

 という二つの崩壊によって出てきたものだ。

 そんな諜報活動というものに、一つの考え方として、

「行方不明」

 ということが結構絡んできたりする。

 これは、行方不明になった人間が、

「どういう人間なのか?」

 ということも大きかったりする。

 というのは、

「実際に、スパイだった人が、情報収集を終えて、自分の国へ帰った場合」

 である。

 これは、非常に国家にとって危険な状態が、末期になっているといってもいいだろう。

 また、他のパターンとして、諜報活動としてやってきた人間から、洗脳のようなものを受けて、すっかり相手国に洗脳される形で、スパイにされてしまった。

 ということである。

 この場合は、末期とまではいかないが、これから、危険度が一気に増すということになるであろう。

 すでに、わが国において、行動を開始できるレベルになっていれば、

「同じ国民」

 あるいは

「同一民族」

 ということで、他の人たちは、

「まさか、隣にスパイがいる」

 などということを考えたりはしないだろう。

 しかし、実際には、潜んでいることがあるわけで、それだけ国民は、

「なるべく、同胞を疑うなどということはしない」

 と思っているに違いない。

 なぜなら、国家が有事を想定しているのだから、まわりの人間をいちいち疑っていては、国難を乗り切れないということになるだろう。

 特に、

「挙国一致」

 ということを政治も軍も行っているのだから、国民も、

「一致団結しないと、戦争に勝てない」

 ということになる。

 その考えを、スパイは利用することになるだろう。

「自分たちよりも、国家の方針を生かす形になるのだから、政府や国民を欺くなんて、簡単なことだ」

 と、洗脳されたスパイにそう思い込ませれば、作戦もやりやすいといえる。

 しかし、

「油断は禁物であり、そのあたりは、気を付ける」

 という教育をしている。

 もちろん、その国家もやられているだけではないだろう。だから、

「スパイ撲滅」

 ということを考えるのだ。

 もう一つは、

「拉致してくる」

 というものだ。

 相手国の人間を拉致してきて、その国の風俗習慣を自国の人間に教え込み、

「新しいスパイ」

 というものに、そのスパイをする国の風俗、習慣を教え込まなければ、新たなスパイを育成しても、活動に制限が掛かってしまったり、相手に、

「スパイだ」

 ということが見抜かれてしまう。

 そうなると、

「行動ができなくなる」

 というだけではない。相手国は、

「国連などの機関」

 に対して、

「当該国が、スパイを送り込んだ」

 ということを訴え、相手国を、

「国際的に抹殺しよう」

 と考えることだろう。

 さすがに、

「スパイを送り込んだ」

 などということが分かれば。国際社会も黙ってはいない。

 それなりの制裁があっても仕方がないだろう。

 だから、

「国内でも、スパイの存在を認める認めないは別にして、国民に注意を促すのだ」

 もっし、スパイの存在を認めてしまうと、

「政府は何をしているんだ?」

 といって、政府批判になりかねないからだ。

 しかも、国内は、軍主導での、戦時体制に向かっているという場合であれば、

「まわりを疑って、猜疑心の塊になってしまう」

 などということは、戦争完遂には、程遠いことになるだろう。

「戦時体制を維持する」

 ということができなくなり、皆疑心暗鬼で、政府すら信じられなくなり、国内が混乱して、

「軍事クーデター」

 なるものが発生しても、無理がないということになるに違いない。

 そうなってしまうと、

「相手国の思うつぼ」

 ということで、

「亡国は、内部から崩れる態勢によって、引き起こされる」

 ということになり、まわりの国が介入してくると、完全な、

「占領状態」

 ということになり、史実としての、

「無条件降伏」

 ということと、結果は同じになるだろう。

 ただ、

「戦争というものでの敗戦と違い、非合法での国家転覆ということなので、その混乱がどういうものになるか、想像もつかないだろう」

 特に、世界でも、

「先進国」

 あるいは、

「大国」

 と言われるようになったところは、そうも言っていられない。

 そうなってしまうと、

「黒歴史」

 などという言葉で、片付けられるものだといえるだろうか?

 そんな、

「スパイ」

 を送り込む、

「諜報活動」

 というのは、当時の世界において、いかにひどいものであったのかというのは、今の時代の、特に日本人には想像もつかないだろう。

 ただ、今の時代は、

「国家間による、諜報活動」

 というものは、基本的にはないといえるだろうが、

「企業間においては、結構あるだろう」

 そういう意味で、公安という部署があり、そこで警察とは別に捜査を行う機関があるというのは、

「今の時代ならでは」

 といってもいいだろう。

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