タグ付けに悶々

 投稿小説にタグ(キーワード)をつけられますが、何にしようか悩みます。

 カクヨムなら8個。小説家になろうなら15個と多いですが、実際はコンテストタグと兼用なので、もっと少ない。

 いろいろな方が口を揃えて、全部のタグを埋めるべしと言います。


 実際のところタグで絞り込んで小説を探す人はどれくらいいるのでしょうか。

 私は読み専門だった時期が長いですが、選択式のキーワード以外に使った覚えがありません。

 小説を投稿する段になって初めて、このタグはどれくらいの人が使っているか、他に似たようなタグはないか、と調べるのに使用しました。同業他者の視察っていうやつです。




 実はどちらのサイトもデフォルトでは、タグだけでなくタイトルやあらすじ、概要などの全体から検索されます。わざわざタグのみに絞って検索する人がどれくらいいるのか。

 普通ならジャンルで絞りランキングとかのトップページから進める先で選ぶのが多いように思います。私もそうでした。検索するとしても入力は面倒だからリストにあるメジャータグから選択。


 ちなみに検索は部分一致方式なので、文字数の範囲内ならタグに複数のワードを詰め込むこともできちゃいます、「冒険と探索」みたいに。もっと増やしたければ、「魔法少女の冒険と探索」、何なら「少女日常冒険魔法戦闘」なども可能です。こんなことしたら何だかわからなくなるので絶対にしませんけれどね。

 タグには検索で小説を探す強者向けに、引っかかるワードを設定するんでしょうけど、特にこだわりがなければ、あらすじや概要に内容を示すワードをちりばめておけばいいので、気にしてもしょうがないかとは思います。




 ただし、どちらのサイトも検索システムとしては不完全だと思うのです。普通、この手のシステムはプラス・マイナスの両方を考えて設計しなければなりません。

 小説を探すとき、ある要素が「ある」小説を探すときと、その要素が「薄い」あるいは「ない」ものを探したいことがあります。後者の用途も結構需要があるように思うのです。しかし正しいマイナス検索は不可能です。

 除外ワードがマイナス検索だと言われるかもしれませんが、小説の内容に対する正しいマイナス検索ができるような設計になっていません。


 例えば、ハーレム要素(単なる一例です)が薄いあるいはない小説を読みたいとします。

 除外ワードに入れればこのワードが入っている小説はもちろん除外できます。でも、ハーレム要素があっても全員がタグにそう設定しているとは限りません。限られた数の中ではむしろ、強調したい人以外はわざわざタグにしないでしょう。あえてあらすじにも書かないかもしれません。


 だからといって「ハーレムはありません」とタグや概要に書いても、除外ワード「ハーレム」で検索したら除外されちゃいます。なので、そう主張したい著者は「ハー*レム」とか伏せ字にして除外を回避する。

 しかし、そうしてもハーレムのない小説を求めて検索したい貴重な読者には届きません。


 だから真のマイナス検索システムが必要。タグ設定はプラス検索にしか使えないので、マイナス検索のための設定を追加してもらいたいのです。

 現状の「あり」のタグと「薄い」・「ない」の3段階でいいのではないかと思います。そうすれば、この要素は薄いです、ないですと正しく宣言でき、しかもそれを欲している人に確実に届きます。

 真のマイナス検索システムを導入していただきたいと考えてしまうのでした。




 まあ、近ごろのAIの進歩具合からして、遠からず優れた口頭検索が使えるようになるでしょう。


「若い女の子たちと年上の男が登場して、少し中世っぽくて魔術なんか普通に使える世界で、なんかの秘宝を探すのだけど、まあいろいろあって……みたいな物語を検索して。ああ、血は苦手だからリアルな死傷シーンは無しで。ドロドロの恋愛は嫌いだけど禁断の恋と運命を変えるひと言はあってもいいかな。最後はハッピーエンドで。ああ、それから寝るまでの2時間くらいで読めるやつ……」


 おまえ、どんな小説が読みたいんだ……。

 しかし、検索に時間かかってるな……まあ、こんなのないか……。


「……完了しました。あなたにお勧めの小説はこちらになります。嗜好合致度93%です。デバイスで読めるようにしますか?」


 あ、あるんだ……。

 しかし、なんだな、頭の中の妄想を全部さらけ出したようで、ちょっと気持ち悪くなってきた……。

 でも、興味がないわけではない。せっかくだから読んでみるか……。


 ちょっと妙な設定とか何だこりゃというシーンもあったけど、素人にしてはまあまあかな。しかし、この著者、妙な名前だな……昔のメインフレームみたい。


「さっき出してもらった小説の作者が書いた別の話を後で読みたい。リストを出して。選ぶから」

「どのような物語をご所望でしょうか。具体的に説明していただかないと形成できません……」


 えっ? (ゆかり)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る