第2話 タスケテ
買ってきてしまった……!
俺は鞄に入れて来た掘り出し物をドキドキしながら開封した。
大丈夫だ……!
これは誰にも分からない……!
俺が言わなきゃ誰にも分からないんだ……
ここに……
……見るぞッ!
みすぼらしいケースから慎重に取り出して、俺の家のテレビに接続されたブルーレイレコーダーにDVDをセットした。
ウイーンと飲み込まれていくDVDに、俺は熱い眼差しを向けた。
女子中学生……! 女子中学生……! 女子中学生……!
どんなスゲー内容だろう?
俺の頭の中で、生命力に満ち溢れた若いコが、ドエロイ目に遭わされている様子が自動再生され。
自然と、ズボンの前ボタンを外し。
そのファスナーを下ろしている自分に気づくのに俺は数瞬を要した。
そして……
本編が始まった。
『初体験は?』
『……14才のときに、従弟の3つ下の男の子と』
……ええと。
なんかさ、どう見ても20過ぎてるおねーさんが、セーラー服を着てインタビューを受けているんだが?
なにこれ? なにこれ?
なにこれー!?
畜生! 騙しやがったな!
俺の密かな期待を裏切りやがったな!?
俺は……プリ〇ュアに変身してもおかしくないような可愛い女の子が、牝の表情で喘ぎまくってる様子を見たかったんだッ!
畜生……畜生……!
人を騙すなんて最低だッ!
そして俺は一通り憤り
明日、会社行きたくねぇな。
そう思ったのと。
5000円勿体ないから、折角だし最後まで見るか。
そう思った。
で、俺はズボンを元に戻して視聴を続ける。
口寂しいので、ビールを飲みつつ眺めていた。
酒、飲まずにはいられない。
女優さんへのインタビューが一通り終わった。
そろそろセクロスシーンかな……
そう、ビールを一口飲み込みつつ、頭の片隅で考える。
まぁ、特に興奮しないけど。
一本いっとくかなぁ、
そんなことを同時進行で考えて。
次のシーンを待った。
そしたらだ
「えっ?」
思わず声が出た。
だってさ……
あのパッケージに写真があった女の子が、制服で、ベッドの上で。
手錠を掛けられて。
怯えた顔で放り出されてるんだ。
目線が外れて良く分かったんだが。
清楚な印象の子で。
髪が長くて。目が大きくて。
アイドルを目指せそうな感じだった。
……ひょっとして、芸能界関係者だったりする?
というか……
やっぱ、本物だったのかコレ!?
最初のしょうもないインタビュー、カモフラージュだったとか?
違法DVDなんて見たこと無いからよく知らないんだけどさ!
混乱と喜びで、動けなくなる俺。
俺の目はテレビ画面にくぎ付けだった。
テレビの中の女の子は
「助けて!」
そう、叫んでいる。
……演技上手いな、この子。
そこら辺で、この違法DVDに出演することを了承する流れになったんだろうか?
そんなことを考えつつ、俺はただ見つめていた。
テレビ画面の中の美少女を。
「助けて!」
……これを本気で演技だと信じながら。
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