第8話・起:七罪集結

 東京都の中央に位置し、今年の今日に創建された百階立ての旅館、【帝都旅館】。

 それぞれの階層に四季をモチーフとした内装が施され、エステサロン、無料の雑誌や漫画がある書斎、世界各国の料理が揃うレストラン、屋上には豪華絢爛な露天風呂など様々なアメニティやサービスが揃っている。

 そんな麓の大駐車場に一番乗りで現れたのは傲慢の称号を翳す異能のマフィア【アブノーマル・ファミリー】であった。

「ほう、中々、良い日本製ホテルじゃねえか。」

ボス親父、最近、噂になってる最新の旅館らしいですぜ。」

「ほぉ、これはガロッサも、儂も、羽根を休めそうじゃわい。」

 『ガロッサ・アルカポネ』、『ドラク・チカチーロ』、『ロイズ・ルチアーノ』が呑気に眺めると、不意に背後からの殺気に気付く。

 それは嫉妬の称号を翳す爬虫人類の独裁者達、【爬虫神徒】だった。

「喰えない男か、久しいな。相変わらず、油断も隙もある者たちだな。」

「久しぶりだな、レプトール。以来だな。」

 両陣営は出会った瞬間、臨戦態勢を整えた。

「おうおう、人類の裏社会だけイキってる不良連中じゃねぇか、お前たちも呼ばれたのかよ、ああん!」

「ああ? 誰かと思えば、人間に妬んで、新人類を名乗る蜥蜴野郎じゃねぇか? 相変わらず、人間を目の敵にしやがってよぉ!」

 爬虫神徒から『クロコ・ゲーダイル』、アブノーマル・ファミリーから『アッシュ・デザルポ』が互いにガン飛ばしていたかと思ったら、互いに堅い握手を交わした。

「また、テメェと出会えるなんざ、この前の借りを返してやるぜ!」

「決着付けてやらねぇとなぁ! お互い完全不燃焼じゃつまらねぇわな!」

 互いに睨み笑う二人を他所に白いクイーンを模したパワードスーツを来た少女『ダイソンクイーン』が怒れる環境保護団体過激派【ガイアラース】を連れてやって来た。

「あら、喧嘩にはならないのですね。残念、同じ人類を憎む爬虫神徒の皆様方に手助けしようと思っていたのですけれど。」

「自惚れるな、白女王よ。人間を超える我ら真の霊長と、人類をただ毛嫌いする旧人類を一緒にするな。」

「地球の守護女神たる我らがクイーンのご好意を無下にするか、爬虫の怪物共よ。」

「ママや私達に悪い事言うなぁ!」

 主や組織を侮辱する発言に対し、『ウォッシャーキング』と『フリーズドビショップ』がそれぞれの武器をレプトールに向ける。

 すると、彼を護るかのように『蛇髪じゃがみメデュー』と『林隠はやしがくれキャメロン』が立ちはだかる。

「シャシャ! レプトール様を傷付ける奴は許さない! キシャー!」

「レプトール様の言葉を受け入れないなんて、やはり、人類は頭でっかちの馬鹿だなぁ。」

 一触即発になる爬虫神徒とガイアラースの間に第三者であるアブノーマル・ファミリーの『クラウディア・オカダ』が啖呵を切る。

「何が真の霊長よ! 何が地球の守護女神よ! あんたらが束になろうと、私達、アブーノマル・ファミリーには勝てないわよ、負け犬共!」

「ちょっ、姉さん!? 余計な事を言っちゃ…」

 『マイラス・オカダ』の制止も遅く、三大悪の組織ヴィランドに戦慄が迸り、険悪な雰囲気になった。

「下手に出て見れば、調子に乗りやがって、爬虫人類の奴隷の分際で!」

「地球の守護者たる我々の怒りを知らぬ糞人類共が! 滅せよ!」

「俺たちマフィアを舐めんじゃねぇ! 付け上がるな、馬鹿野郎共が!」

 三種三様は互いを罵詈雑言で罵り合いながら、鋭い睨みで牽制し合った。

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