『呪われた最終回の謎』

redrock

第1話「行方不明」

地上波Lテレビ局の番組プロデューサーYです。


私が夕方担当している情報番組内で、グルメコーナーのフリーディレクターA君が会議を無断欠席しました。彼とは長い付き合いですがこんなことは初めてです。何度も彼の携帯と自宅兼事務所の固定電話に連絡しましたが、一週間も音沙汰がありません。


嫌な予感がした私は東松原にある彼の自宅マンションを訪れると、事前に連絡していたマンション管理会社の男性がエントランスで待っていました。


男性によると、「家賃は一年分すでに前払いされています」とのこと・・・


「以前にも家賃の振り込みがなく、連絡もつかない住人が室内で孤独死していました」


不安そうに語る彼の鞄から、防犯チェーンを切る大型のカッターが見えました。


A君の部屋は201号室です。五階に止まっているエレベーターを待つのももどかしく、私たちは階段で足早に二階に上がりました。


インターホンを押します。


応答がありません。


「A君、いるのか?L局のYです」


何度もノックしてインターホンを押しましたがやはり応答がありません。


管理会社の男性が合鍵をポケットから取り出し鍵穴に差し込むと、チェーンカッターを取り出すまでもなくドアが開きました。


私は男性に促され先に中に入ります。


部屋は八畳一間なのでカーテンが閉まっていても全体を見ることはできました。


「いるのか?入るぞ」


私は少し大きめの声で呼んでみました。そして靴を脱ぎ男性と部屋の中に入り、電灯のスイッチを入れました。


A君は離婚後一人で暮らしていたようです。以前二人で呑んだ時に、「小学生の息子が一人いて養育費の支払いが大変です」と、語っていたのを思い出しました。


彼は二年前に大手テレビ制作会社を退職し独立しました。しかし仕事がなかったようで、「何でもやります」という彼の頼みもありグルメコーナーの枠で使うことにしました。


以降ぽつぽつと仕事も入り順調だと思っていた矢先のことです。


私と彼は同い年の四十二歳、厄年です。知人やその身内に孤独死が五人もいて決して他人事ではありません。


私は部屋と風呂場、そしてトイレのドアを恐る恐る開けました・・・







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