第4話 訓練

継続は力なりという言葉の意味を体験した。武器なんて使ったこと無かったので毎日少しずつ教えてもらった。変な癖を付けないようにと毎日同じように素振り。回数は慣れていく度増えていく……武器を見てゲームみたいだと感動したのは最初だけだ。剣なんて初めて持った感想が重いだった。


 3日目、3ヶ月辺りで辛くなってきたがこの世界に生きるなら最低限自分の身は守れないと。しかし毎日訓練だけというのも辛く、3か月目にモモに


「一応恋人ってなって周りに言っているしデートとかしない?」と聞くと


「デートって何?」


「俺も詳しく知らないが、仲のいい二人が一緒に出かけたりして、手をつないだりしてお互いにドキドキするような……何か言ってて恥ずかしいな……」


「いいね行こうか。おいしい肉も食べたいし」


最初は食事にでも行くのかと思った。


俺の伝え方が悪かったんだろう。手をつないでどこに行くのかと思うと狩りだった。この先に危険な生き物がいると考えると緊張する。確かにドキドキはしましたよ。手をつないで……いやつながないでも狩りは初めてだったし。でも何か思っていたのとは全く違った。獲物の解体なんてねぇ。気分悪くなりましたよ。でも肉は食べるのに解体は嫌とか言える世界ではないし、釣りとか行ったら魚は締めますから。頭ではわかるけどもって感じです。


  魔法も教わった。それぞれ皆得意な属性というものが有るらしい。俺はない。しかしなんでも平均以下に発動はする。これは珍しいというか聞いたことないって言っていた。普通は得意な属性とあと1種類位しか出来ないみたいだ。それと魔力についても教わった。なんか”もう魔力無い”と思う時点で残り2割は残っているが、それが無くなると死ぬらしい。だから100%の魔力を使った魔法は使えるが命と引き換えになる。生きる、傷を癒やす、体を守るにも魔力を使うらしい。魔力は自然回復する。寝ると早く回復するが休めないと回復は期待できない。なんか緊張状態だと無意識に魔力を使い自分の能力を高めているらしい。


 魔法は自分で思う事で発動できる。イメージってやつだね。慣れるまでは火属性が得意なら「小さい火の玉を前に高速で放つ」と言って魔力を放出するだけで火の玉が飛んでいく。口に出す必要はないが”火が飛ぶ”だけを決めて魔力を使うとどこにどれだけの火が出るか分からない。魔力が高いと周囲に火が飛んでいく。1人ならいいが近くに味方が居たら巻き込んでしまう。だから予め分かりやすいように決めた言葉を言うのが間違いが少なく周囲も気付いてくれるらしい。当然短距離の対人戦闘なら敵に気付かれるが。


 こちらに来て半年位経った頃初の実戦に参加した。攻撃は当たらなかった。剣にしても魔法も動かない的以外は簡単には当たってくれない。木や草が多い所では火の魔法は火災になるから使えない。なら水だなと水で攻撃。地面に水分が補給されただけであった。水より氷だなと先を尖らせた氷を放つが当たらない。数を打てばいい。下手な鉄砲も数打てばってやつだ。何発か当てて1頭倒せたが周囲は凍っていた。


「これ融けるまで解体できないね」と皆で笑った。


  剣、弓、ナイフを練習はしたが動く目標に当てるのは困難だった。魔法は武器を使うよりも当たった。もう半年以上経過したがモモとは仲のいい友達位の進展だった。最初に結婚しようと言われ、その後も一番近くに居るのに何もない。訓練するのに複数で教わってるからかも有るが二人きりでっていうのは前回の手繋ぎ狩り以外ない。別にモモ以外も魅力的な人達が多いが最初に結婚申し込まれたので1番気にはなってる。一人で適度に仕事出来るようになったら恋愛も本気出してみるかと考えていた。


 それから半年ここに来て1年過ぎたころには最低限の戦闘は出来るようになった。剣やナイフは防御用とし接近された時のみ使い攻撃は魔法。土系の魔法で小さな石を作れるようになった時に銃みたいに撃てばと気付いた。拳銃でも機関銃でも対物ライフルでもいい。イメージ出来たら使える。実物を知ってるのは強かった。この世界に銃はないらしい。鉄の玉も撃てるが魔力消費が大きい。その戦闘以外ないならいいが実際的の数など分からないのに消費を増やす利点がない。相手が固そうなら別だが。


そんな状態でやっとモモとの事を考えれるようになった頃思ってもみない事態となった。


 まあ異世界転移が有るのだから冒険者パーティーに追放される主人公は有りなんだろうか?


久々にギルドで会ったサクラに言われた


「セート、君には悪いが君に良くない噂が広がっていてこのままでは太陽の光としての仕事が出来なくなる。パーティーのリーダーとして追放が妥当だと判断し命令する。直ぐに立ち去れ……と言ってもそれでは生きていけないだろう。別のいい街を紹介する。地図も渡す。そこに行け」と。


どうしてこうなった?

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