人は追い詰められると、能力を発揮するのは本当らしい

 昔から「火事場の馬鹿力」という言葉があるように、執筆も締め切りに追われることで、作品がキレイにまとまることもあるかと思います。



 もともと小説のあらすじが決まっていれば、追い込まれさえすれば、なんとかなるかもしれません。私もタクシー運転手が探偵役という日常の謎ものを書いたことがあります。この時、構想は固まっていました。そして、雑学が推理の核になることも。「よし、書こう!」と思っても、雑学がなければ話になりません。



 雑学が知りたいだけならば、ネット検索すればいくらでも出てきます。しかし、それが日常の謎に結びつくかは別です。普通ならゆっくりと考えればいいのですが、急ぐ必要がありました。それは、「読書キャンペーン」に間に合わせる必要があったからです。このキャンペーンは「読んだエピソード数でトリのぬいぐるみなどが当たる」というものでした。



 このタイミングで作品を発表できれば、評価されてミステリーランキング1位になることも夢ではありません。ミステリーは私の主戦場ですから、久しぶりに1位を取りたかったのです。追い込まれた私は通勤時間もネタを探し続けました。すると、「なんで、〇〇は××なんだろう?」という疑問がどんどんと出てきました。これをネット検索やAIで答えを出すことで、なんとか日常の謎が30個集まりました。



 ありがたいことに、評価をいただき無事ランキング1位を取ることができました。素直に嬉しかったです。



 このエピソードを書いている現在、カクヨムコンテスト10が開催中です。新たに短編を投稿しようと考えたところ、タクシー運転手が探偵の日常の謎シリーズの続編を書くことを思いつきました。「よし、方向性が定まった」と思いましたが、問題が一つ。日常の謎が足りない。致命的です。ですから、このエッセイを書いてあえて時間を削っています。火事場の馬鹿力で、新たな日常の謎を思いつくと信じて。

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