第2話 これからの為の検証
◇
「早速【同化】から検証だね〜」
『今の内側からマリノの声が聞こえる現象は、【同化】してるからだよね?』
うんうん、私もそう思うよ。
「マリナの同化率は100%見たいだけど50%とかに出来たりする?」
「後よくよく考えれば私がマリナのステータスが見れた事がまずおかしいからこれも【同化】の影響かな?」
そう、普通は他人のステータスを見ることは出来ない。
魔道具でディスプレイに表示させれば可能ではあるけどね。
『むむむ……ん〜〜〜ステータスオープン!』
ステータス
宝生マリナ
種族:吸血鬼[イコル] (同化率100%)
『変わって無いね〜』
「私とマリナは双子だから最高の相性って事でこの件は保留しよう。」
現状これ以上の検証は無理だ。他の検証方法思い付かないだけだけどね!
「次も私の【分離】スキルの検証だね。多分今の状態から変わるから慎重にやろう。まだ周りにモンスターが来てないから今の内に」
「嫌な予感を感じたら再度【同化】するからね」
ふう……、なんか緊張する。
人だった時当たり前の様に寝食全て一緒にマリナと過ごしてきたけど【同化】はその時以上の安心感と充足感がある。
正直【分離】したくない。
今の【同化】した状態こそが正しい私達の姿な気もしてくる程に、でも検証は必要だ。
今後生き残る為に必要なら私を犠牲にしてマリナだけ【分離】で逃がす事を考えないと行けない強敵に出会う可能性もある。
『OK、何時でもこい!』
「マリナいくよ」
…………ん、やる!やるぞ!
「【分離】」
……
………
…………
……………
「¿℉‰§£€∆¶¡µ」
「■■■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■」
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
あっ……コレ無理な奴だ……
「【同化】」
虚無感と
喪失感と
絶望感と
嫌悪感と
不安感。
転生してマリナと同化してまだ数十分位?もっと短いかも
それ位しか経ってない筈なのにもう【同化】無しの人生が考えられない位になっている。
「マリナ大丈夫?」
「検証の予定だったけど嫌な感じだったから元に戻ったよ」
マリナは中々喋らない……
不安が私を呑み込んで行きそう……
『…………………………だ……だいじょうぶ……』
『ごめん……嘘……全然……大丈夫じゃ無かった……』
内から響いてくるマリナの声に力が感じられない。
「落ち着くまでゆっくりしようか。身体を私に委ねてみて。周囲を探索して見るから」
『うん……』
◇
マリナが落ち着くまで予定を繰り上げて周辺の探索をする事にした。
スライムボディに身体を慣れさせる予定だったから少し、と言っても十数分程度早くなっただけだけど
未検証のスキル【軟体】は脳?の思うままに身体を変形させる事が出来る常時発動型のスキル見たいだ。
今更だけど私に脳はあるんだろうか?今はその事は考えないでおこう。
【軟体】は制約もあって体積以上には伸ばせない、体積以下に身体を縮める事も出来ない。
攻撃面で考えると打撃はどうなんだろうか?
体当たりしても効く気がしない。
触手を作って鞭の様にしならせる?
鞭の先って音速超える見たいだし有力候補かな?
でも現状の体積じゃ無理なのは分かる。
締め上げる力はどうだろうか?
これは感覚的に意外と行けそうな気がする。
定番の生物の頭に覆いかぶさって窒息させる戦法はどうだろうか?
これも体積的に今は有効では無い気がする。
んー
私はスライムって雑魚ってイメージしかない。
実際子供ですら倒せるし
配信見る感じ有象無象の雑魚程度の認識だった、それは間違って無いでしょう。
スライムって一種類しかいないしね。創作だと盛りに盛られてるけど。
web小説じゃ色々スキルを取得して無双する作品があったけど私もそれ系であって欲しいと願うばかり。
もう一度死んでやり直し出来る保証なんて無い。
私はこのスライムボディを工夫して生きていく!
それに幸い私にはマリナが付いてる。
【同化】した吸血鬼パワーがあれば普通のスライムで出来ない戦い方も可能かも知れない。
他の可能性を探る為うにょーんと出来る限り伸びてみる。
うにょーーーーーーん
結構伸びるな!
いや本当に思ってた以上に伸びてる。
そしてその状態を維持。
……
……
……
少しの間、心を無にしてみる
……
……
……
マリナ可愛い……早く元気になれ……
……
ちょっと雑念が入る……
まあ、始めての試みだから仕方ないけど、これのお陰である程度分かった。
【軟体】は意識せずとも任意の形で身体を固定する事が出来る見たい。
可能性が広がった。
少し身体を縮める。
うにょーんとした状態からウネウネ
蛇の蛇行運動だよ。
ウネウネウネウネ
うん、これ良いね。
スライムとして普通に地を這うより行動しやすいと思う。
ピット器官は無いけどにわか再現で問題無く動けるならこのままで良いでしょ。
ウネウネと地面を這う。
そして壁へウネウネ
問題なし!
更に天井へウネウネ
ここも問題無い見たい。
ダンジョンは定説では人を誘い込み餌にしているらしい。
トラップも人向けの物が大半を占めていると言われている。
天井を這う事が出来る私は比較的安全にダンジョンを攻略出来る可能性が生まれた訳だ。
吊り天井タイプの罠やプレス型の罠に私の身体がどれだけ耐えられるかが問題点として残っているけど
これは実験する事が出来ないから、罠に掛からない様に気を付ける位しか出来ないな。
壁や天井をウネウネ這いながらふと身体が無意識に何かに反応した。
「なんだろ?ちょっと違和感はあるけど不快じゃない?」
身体が求めてる感じ??
たぶん、これだ。
身体が【捕食】を使えって言ってる!!
気がする…
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