?/? 珈琲
『コーヒーと恋愛』という本を読んだ。大学図書館の五階。文庫本の整然と重厚に並ぶ本棚で簡素な題に惹かれて、母の遣い序でに指を掛けた本だった。ちらりと捲った表紙の裏は日にやけた、当に「珈琲を溢した跡」のような色をしていて、開いた瞬間巻き起こったその本のくらした年月を感じさせる埃と紙の匂いは幾許か私を満足させた。私には、「本を読む」ことと「文章を読む」ことを別に考えるきらいがあり……ここで大凡「本を読む」ことの目的は終えたといってもよい。一行目を読み終える頃には意識が切り替わり、「文章を読む」フエイズに移り変わった。滑らかな黄みがかった本紙は、いつもなんだか私を安心させる。
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