第1章: 異世界への扉

「だみんちゃん、この魔法陣の配置、これでいいと思う?」


王立魔法研究所の地下実験室で、鈴懸リノアは慎重に魔法陣を確認していた。

彼女の隣では、だみんが錬金術の材料を丁寧に配置している。

二人は魔法と錬金術、そして皮膚科学を組み合わせた画期的な実験を行おうとしていた。


「リノアさん、触媒の準備はできました。でも...この配置、少し不安定に見えませんか?」


だみんちゃんは不安げに魔法陣を見つめる。

確かに、魔法陣の外周部分が通常よりも強く輝いていた。

しかし、二人の研究者は既に多くの時間と労力をこの実験に費やしており、

今更引き返すことはできなかった。


「大丈夫よ。理論上は完璧。さあ、実験を始めましょう。」


リノアが詠唱を始めると、魔法陣が青白い光を放ち始めた。

だみんちゃんも錬金術の触媒を活性化させ、二つの力が融合していく。

しかし、その瞬間、予期せぬ現象が起きた。


「リノアさん!魔力の流れが...!」


魔法陣が不規則に明滅し、空間に歪みが生じ始める。

研究所の警報が鳴り響き、緊急システムが作動した。

しかし、既に制御不能な状態に陥っていた。


「これは...次元の歪み!?だみんちゃん、早く安全域まで!」


突如として、実験室の空間が大きく歪み、未知の次元への通路が開いた。

その瞬間、別の場所で起きていた出来事が、二人の視界に映り込む。


「あれは...東京?そして、あの人は...!」


映像の中には、オフィスで仕事をする女性の姿があった。

世界的に有名なプログラマー、はるか。

彼女もまた、突如として発生した魔法陣に驚いている様子が見えた。


「止めないと!このままじゃ...!」


しかし、既に手遅れだった。

次元の歪みは、はるかを呑み込み、彼女の姿は光の中に消えていく。

そして、魔法陣は爆発的なエネルギーを放出し、実験室全体を光で包み込んだ。


警報が鳴り響く中、二人は必死に状況の把握を試みる。

魔法探知機が示すデータによると、はるかは王国の外周部、未開の地域に転移したようだった。


「大変なことになってしまいました...」


だみんは肩を落とし、リノアも深いため息をつく。

二人は互いを見つめ、決意を固める。


「彼女を見つけ出さないと。私たちの実験が引き起こした事態だもの。責任を持って対処しましょう。」


リノアの言葉に、だみんも頷く。

二人は直ちに救助計画の立案に取り掛かった。

しかし、彼女たちにはまだ分かっていなかった。

この事故が、想像を遥かに超える大きな物語の始まりになることを。

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