プロローグ: 魔術とコードの女王

東京の高層ビル群を見下ろす最上階オフィス。

大きな窓から差し込む朝日が、一人の女性の姿を浮かび上がらせる。


「はるか社長、本日の予定です。」


秘書の声に、はるかは目を細める。

彼女の名は春日原はるか(仮名)。

日本最大の魔術企業「ICH」の社長であり、世界屈指のプログラマーだ。


「ありがとう。今日も忙しくなりそうね。」


はるかは立ち上がり、オフィスを出る。

エレベーターに乗り込むと、鏡に映る自身の姿を確認する。

スーツの襟を正しながら、彼女は昨日の出来事を思い出していた。


アメリカの有名誌「タイム」のPerson of the Yearに選ばれたのだ。

「日本と言えばHARUKA」と称されるほどの実力者となった彼女だが、

その道のりは決して平坦ではなかった。


朝食を済ませ、オフィスに戻ったはるかは、次々と押し寄せる仕事をこなしていく。魔力こそないものの、魔法陣の設計とプログラミングの融合で、

彼女は外部魔力を駆使してSSS+ランクの魔術を操る。

その実力は世界ランキングにすら載らない、トップクラスのものだった。


「社長、新しい魔法陣のデバッグが終わりました。」


「よくやったわ。では次は...」


昼食時、はるかは社員食堂へ向かう。

バイキング形式の食堂で、彼女はいつものように肉料理を中心に取り分けた。

栄養バランスを考えながらも、

プログラマーとしての活力源は良質なタンパク質だと信じているからだ。


午後のミーティングでは、海外クライアントとのビデオ会議が続く。

流暢な英語でプレゼンテーションをこなすはるかの姿に、

社員たちは今日も感嘆の声を漏らす。

アメリカ留学の経験が、彼女のグローバルな視野を培ったのだ。


夜になり、オフィスが静まり返る頃。

はるかは最後の仕事を終え、軽い夕食を取りながらコードを確認していた。


「情報処理技術者試験の資格、全部取得して正解だったわね。」


彼女の指先が、キーボードの上を舞う。

基本情報技術者、応用情報技術者、ITパスポート...全ての資格が、彼女のキャリアを後押ししてきた。


突然、画面に異変が起きる。

見たこともない魔法陣が浮かび上がり、部屋中に光が満ちる。


「これは...召喚魔法?」


はるかの体が宙に浮く。

驚きに目を見開く間もなく、彼女の姿は光の中に消えていった。


世界最高峰のプログラマー兼魔術師、春日原はるか。

彼女の新たな冒険が、今始まろうとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る