ダンジョンで戦っていたら数年が経過してた件について

クククランダ

プロローグ



 焼けた肉の匂い、ボロボロの服にズキリと痛む傷。薄暗い迷宮の中で俺は天井を見上げる。



「やっと終わったな」



 俺の座り込んでいる場所、その下には蛇の怪物、ヒュドラがいる。俺は一度下に視線を向ける。



「マジで強かったな」




 俺は呑気に呟く。こいつのせいでずっとここから出られなかった。だが、それももう終わりだ。こいつが動くことはない。俺が殺したのだから。



「あー。なんか実感湧かなねぇなー」



 こいつと戦い始めてから数週間、長いようで短かった気がする。こいつのせいで何度も死にかけ…………いや、この表現は正しくないか。まぁ、もう終わったことだし、別に良いか。




「そろそろ帰るか。あいつら泣いてないと良いけど」



 俺は立ち上がって死骸から降り、ダンジョンの奥で浮いている綺麗な玉に触れた。



「あー、あいつら駄々とか捏ねてないと良いけど。帰りになんか買って帰るか」



 俺はそんなことを思いながら光に呑まれた。

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