第2話 温泉で稼ぎまくれ!
エルナが全てを教えてくれた。
エルフの郷に代々伝わるスクロール。それには、この『アヴァロン』の詳細が書かれていた。
[アヴァロン][Lv.5]
[村長:アームストロング]
[詳細]
ラグナレア王国の領地。
主にエルフ族が住む。
ほぉ、こんなスクロールがあるなんて知らなかった。しかも消耗されるタイプではない。……って、村長の名前って“アームストロング”っていうのか。なんかイカツイな。
「カイン殿、ぜひ貴方に村長を任せたい」
「いいんです?」
「ええ。この郷は長らく人間を避けすぎた。だからこれからは閉鎖的ではなく、開放的にすべきだと思うのですじゃ。頼みましたぞ、カイン殿」
と、村長はそう言い残して去っていく。
俺に村長をねえ?
「わたしからもお願いです!」
「エルナ……。分かったよ、どこまでやれるか分からないけどね」
それにしても、このスクロール……まだ項目が沢山あるな。どうやら[建築]だとか[領地Lv.5][兵舎Lv.1][農地Lv.1][鉄鉱採掘場Lv.1]などなど細かい一覧もあった。
なるほど、これをレベルアップしていけばいいのか。
しかし、どうやって?
「レベルアップの方法は?」
「えっと、確かお金と鋼材が必要だったと思います!」
「ふぅむ。稼ぎながら鋼材も獲得しなきゃならないのか」
「前に村長がやっていましたので」
どうやら、かなり昔に操作していたところを見ていたらしい。何百年前の話だろうね……。エルフは長寿だからなぁ。
それより、まずは稼ぐ方法を考えよう。
「う~ん、この郷にはなにか資源はあるのかい?」
「資源ですか~…」
困ったような表情を浮かべるエルナ。どうやら、ないらしい――と、思ったが何か思いついたようだ。
「お、あるのか?」
「はい。このアヴァロンには『温泉』があるんです!」
「温泉か」
「そうなんです。でも、もうボロボロで誰も使っていないんです」
「それだ! 冒険者は疲れている。だから温泉で癒されたいはず」
「なるほど!」
そうと決まれば、まずはその温泉地を視察しに行くか。
エルナの案内でその温泉へ向かった。
最初にいた地点から中々歩いたが、丘の上にある中々長めの良い場所だった。……だけど、建物がボロボロだ。倒壊しているじゃないか。
長く使われていなかったというか、放置されているんだろうな。
「どうしてこんなことに……」
「数百年と経ってしまい、誰も手入れをしなくなったんです……」
そういうことね。さすがエルフ。
しかし、このままでは温泉を運営なんて出来ない。俺がなんとかしよう。
俺は温泉を立て直すために、アイテムボックスから様々なアイテムを取り出した。幸い、木材やらクギやら材料があった。
「スクロールの項目を選択して材料を消費すればいいのかな」
「はい、その通りです!」
俺はさっそくスクロールを指で押していく。反応があった。……ほぉ、こんな風にやるんだな。
さっそく『温泉』を選択して建築しなおした。
コンコンと軽い音がして、目の前の建物が一気に新品に変化した。
「こりゃ凄い!」
「わー! 建物が一瞬で……!」
アッサリと温泉施設が出来てしまった。こりゃあいいな!
他のボロボロになっている部分も修理し、ついに温泉は完成。よーし、あとは客を呼び込んで稼ぐぞっ!
俺の領地だけ温泉が大盛況で無限レベルアップ 桜井正宗 @hana6hana
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