３６５日

１月

スイセン「スイセンの記憶」

　冷たい風が吹きすさぶ冬の朝、静かな村の片隅にある小さな庭で淡い黄色の水仙がそっと顔を覗かせていた。寒さに震えながらも凛としたその姿で咲く水仙を見つめると、リリィは心がふわりと温かくなる気がした。

　リリィはその水仙を何度も眺めながら、遠い記憶を辿っていた。幼い頃、祖母がいつも庭で水仙を育てていたことを思い出すのだ。

　祖母は水仙の花が好きで、よくその美しさと香りを誇らしげに話していた。リリィにとって、水仙はただの花ではなく、祖母の存在そのものであり、温かく穏やかな記憶の象徴だった。

「この花はね、どんな寒い冬でも咲き続ける強さを持っているのよ」

　祖母の優しい声が耳に残っている。何度も何度も、水仙のように強く生きることを教えてくれた。リリィは、心の中でその言葉を繰り返した。今、彼女もまた、自分の道を強く歩まなければならないと感じていた。

　水仙は、決して華やかではないけれど、凛とした美しさを持つ。誰もが目を引くわけではなく、存在感を主張することもない。でも、いつの間にか人々の心に深く刻まれていく。リリィは、その水仙の花言葉、「自己愛」「神秘」「尊敬」に込められた力を感じていた。

　たとえ困難な日々が訪れても、水仙のように自分を信じ、前に進むことを誓う。祖母が教えてくれたその強さを胸に、リリィは静かに微笑んだ。水仙の花がまたひとつ、凛と咲くのを見つめながら。

――自分を愛し、尊敬し、神秘の中に生きる。

　水仙の花言葉が、リリィの心を支えていた。

「スイセン」花言葉

・自己愛・神秘・尊敬