うちのメイド(自称)が人気者すぎて学園生徒の敵になった僕の話
萬屋久兵衛
プロローグ
僕はあまりにも唐突に窮地に立たされていた。
教室の机に座った僕に突き刺さる、これから一年間を共に過ごす予定なクラスメイト達からの視線。陰口のようにひそひそと交わされる会話と共に向けられるその視線に込められるのは、驚きと興味と……そして敵意。
およそ初対面の相手に向けられるとは思えない感情に僕は冷や汗を流すしかない。
何故にこんなことになってしまったのか。
思えばこの学園に足を踏み入れてから今まで、生徒たちから見られているような気はしていたが、それが明確に悪い方向に傾いたのは目の前に座る男子生徒の質問に答えてからだった。
周囲の彼ら彼女らと同じく僕のクラスメイトとなるはずの男子生徒は、僕が視線に晒されて萎縮している様を面白おかしいと言わんばかりの表情で眺めているその男子生徒は、僕のことをなんと呼んだ?
──そう。学園の敵、だ。
「な……なんで?」
プレッシャーで上手く動かない喉をなんとか動かして、男子生徒に問うた。
「なんで?なんでと来たか!」
僕の端的な問いに男子生徒は愉快げに笑うと机に両肘を突き組んだ手にあごをのせ、僕の表情を覗き込むよう見ながら答えた。
「そりゃあ決まっているさ。お前が
──拝啓、遙か遠く異国の地で脂汗を垂らして働いているであろうお父様。
厳しい受験戦争を乗り越えてついに念願の学園生活を迎えた息子は、早くも心がくじけそうです……。
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