怪獣絵巻
バルバルさん
地雷怪獣 ズドン
天和の時代、京の都を小さな揺れが襲ったという記録がある。
それは、小さな揺れとはいえ三日三晩続き、当時の京に住まう人々を大いに不安がらせたという。
そして四日目。揺れが収まり胸を撫でおろすもつかの間、東の方から一人の少年が逃げてきた。
その少年は、うわ言のようにこうつぶやいて気を失ったという。
「ズドンが、ズドンが来る」
『京の怪異 136pより引用』
◇◇◇
ああ、まさにあれは悪夢のようだったよ。
京から東に離れた場所にある農村、そこがぺしゃんこになっていたんだ。
いや、比喩だとかそんなんじゃない、本当にぺしゃんこになってたんだよ。
家も、田んぼも、人も。みんなぺしゃんこさ。
あんまりにも不可思議な様子だったから、これが夢であれと思ったよ。
それで、京に報告しに戻ろうとしたら、山の方から、雷と間違うかのような、大きな音がしたんだ。
ずどーん ずどーん
てな。
『京都の兵から伝えられたと思われる記録①より引用』
◇◇◇
みんな、みんな踏み潰された。
あれが踏み潰したんだ。ズドン、ズドンって地響きを立てて。
俺たちの剣や弓じゃ全く効かなかった。あの方が来てくれなきゃ、俺もみんなみたいに踏みつぶされてた……
ああ、そうだ。あれをやったのは俺じゃない。巨大な鎧がやってくれたんだ。
あの方は、多分。京を守ってくれている巨鎧に違いない。
あれをやっつけてくれた鎧は、そのまま京の方へ戻っていった。
本当なんだ、信じてくれ。
『京都の兵から伝えられたと思われる記録②より引用』
◇◇◇
怪獣絵巻
地雷怪獣 ズドン
身長 5m50㎝
体重 推定700㎏
出身 地底
特徴 体より大きな両前足
当時の京の都、その東より現れて三つの農村をぺしゃんこに踏みつぶしたという四足歩行の怪獣。
ズドーンという雷のような声を発して威嚇し、地響きを立てて前足を振り下ろし目の前のものを踏み潰したという。
農村部を踏み潰しながら京の都へと近づき、討伐するために放たれた兵たちもまたぺしゃんこにした。
あわや都も踏み潰されるか。という時に、現在の将軍塚より一筋の光が伸びて、古刀と弓で武装した巨大な鎧が現れたという。
その巨大な鎧はズドンの眼を射って前足を切り飛ばした後、その頭蓋を真っ二つに割ったという。
恐らく、この鎧は将軍塚に埋められているという鎧であろうが、真意は定かではない。
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