ガチャから始まる練金ライフ
あに
第1話 ガチャ
俺の名前は
年齢は31歳で、遅咲きの冒険者だ。
♢♦︎♢
「川地!遅いぞ!」
「はい!すいません!」
ジメッとした洞窟の中、剣と防具を装備して周りを警戒していると遅いと言われる。
俺は日雇いでダンジョンに潜ってコツコツとスライムなんかを倒して魔石を得る仕事をしている。
「なにゴブリンにビビってんだ!それくらい今の若い奴らは倒してるぞ!」
「ほら!来たぞ!行け!」
「は、はい!」
言われるがままに突進していき、剣で突き刺そうとするが、ゴブリンは避けて棍棒で脇腹を叩く。
「ゴフッ」
背中を棍棒でメチャクチャ叩かれるが痛みに耐えてなんとか剣を横に薙ぐと当たりどころがよく、ゴブリンは光になって消える。
残ったのは魔石だ。
「ったく!ゴブリンくらいで情けない!さっさと拾って次に行け!」
「はい!」
痛む体を我慢しながら次の、出来ればスライムを探す。
ダンジョンが出来たのは100年以上前らしく、いまや電気などのエネルギーに欠かせない重要な魔石が取れる資源の宝庫になっている。
だが、冒険者資格は簡単に取れるが、ダンジョンに潜る人間の死亡率は高く、『スキル』や『ジョブ』が発現しないとダンジョンでの活動は制限されている。
うちの会社はダンジョンの一階層で取れる資源を自社で集め、小さな工場で加工している。
冒険者はどうしても一階層には見向きもせず5階層以降からの形の綺麗な魔石しか取ってこないのだ。
クズ魔石に価値はないらしい。
だが、会社で使うためにクズ魔石が必要になるので、俺みたいな冒険者のなりそこねが必要とされている。
俺だって『ジョブ』や『スキル』があればダンジョンの最奥まで行ってSランク冒険者になりたいが、どうやら俺は『無能』のようで、どれだけレベルが上がってもレベル以外は獲得できないでいる。
今日もノルマの魔石を集めていると、スライムが出て来た。
「やった、これで今日のノルマ達成だ!」
少し色が違う気がするが、剣を刺して核を潰す。
「えっ!」
宝箱が出て来た。
俺は誰もいないのを確認してから開けてみるとスキルボールが入っていた!
こ、これで俺もスキル持ちの冒険者だ!
スキルボールを手に取ると宝箱は消える。
「おい!まだか!」
ビクッとした俺はそのまま胸にスキルボールを抱えてしまい胸の奥にスキルボールが入って行ってしまった。
「お、おぉ!…あ、はい!すぐにいきます!」
丁度よくスライムが出て来たのでそれを倒して魔石を袋に入れる。
ちょうどノルマの100個の魔石を取れた。
「あとはお前だけなんだぞ?待ってるこっちの身にもなれ!」
「す、すいません」
「まぁ、いい!明日はもっと早く集めるようにな!」
「はい!」
ダンジョンから出てバスで会社に向かい、魔石を確認してもらい今日の給料をもらう。
日給7千円だ。
本当ならクズ魔石だって一個百円だから一万円になるはずなんだが、ギルドに持って行っても二千円の手数料がとられる。
会社だと日雇いでも剣なんかの武器防具は貸し出されるし、日給7千円は支給されるから俺にはこれがあっている。
しかし、今日のスキルボールはなんなんだったんだ?
会社から出て自転車での帰り道、スーパーに寄って弁当とビールを買い、家に急ぐ。
あの場でステータスの確認は出来ないからな。
「ふぅ、まずはビールだ!乾杯」
乾杯する相手もいないがつい口にする。
一口飲んでから、
「それじゃあステータスオープン」
ーーー
ジョブ ガチャ師Lv1
レベル6
STR 13
DEF 15
INT 13
DEX 16
AGI 18
LUX 30
スキル 『ガチャ』(100/100)
SP 6
ーーー
これが俺のステータスだ。
STRは力、DEFは防御力、INTは知力、DEXは器用さ、AGIは素早さ、LUKは運になる。
SPはスキルポイントだが、剣術でも50ポイントは必要なので使えない。
レベルが上がるとステータスも上がるが1から3の間であがるので運だ。
普通の人は平均して大体10前後なのでまぁ弱いほうだな。
LUKだけは高いのだが、いままで運がいいことはなかった。
そして『ジョブ』と『スキル』に『ガチャ』と言うものが加わっている。
「ガチャガチャのことかな?」
俺は弁当を開けながらステータスを見ている。
ビールを一口飲んで『スキル』のガチャを押してみる。
・『ガチャ』魔石を使いガチャを回すことができる。
と説明が書いてある。
魔石を使うのか…明日も仕事だし、休みは道具なんか借りれないからな…明日頑張って多く魔石を取れるようにしよう!
ビールをグイッと飲むと、ステータス画面を閉じて弁当を食いながらテレビをつける。
「はぁ、剣術とかの方が良かったのになぁ」
次の日、
「おい!今日は早く終わらせろよ?」
「は、はい…」
猿渡にそう言われて萎縮してしまうが、今日は魔石を100個以上集めてしまわないとな!
「おりゃ!」
「グギャ」
ゴブリンだってなんとか倒せるんだから時間内に頑張るしかない。
昼までで大体60個は集まったからこのペースで行けば100は超えるだろ。
俺は食い終わった弁当箱に魔石を10個入れておく。
「おいまだか!」
「は、はい!」
くそ、読みが甘かった!あと3個だ。
なんとか3体を倒して100個になった魔石袋を持って行く。
「す、すいません」
「お前、明日から来なくていいから!」
「え!」
「お前のために待つのは時間の無駄だ!」
「そ、そんな!」
「そんなも何もお前みたいな奴は他にもいるからな!」
俺は、ちょっとした出来心で職を失ってしまった。
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