いつか叶う夢、いつかくる未来に思い馳せて

三椏咲

いつか叶う夢、いつかくる未来に思い馳せて

今日は私の彼女と一緒に買い物に来ていた。季節の変わり目で段々と寒くなってきたということもあり、必要な物を色々買っておこうという話になったのだ。


二人でお互いに似合いそうな服を見繕ったり、カフェで冬休みにどこに行こうか話し合ったりと、楽しい時間を過ごした。


今日は良い一日になったなぁ……と、思いながら帰っていた時に、隣を歩いていた彼女があるお店の前で立ち止まり、とあるものを見つめていた。それは——。


「ウエディングドレス?」

「うん、綺麗だよね」


そう、彼女が見つめていたのはウエディングドレスだった。赤・白・黒などいろんな色が並んでおり、お店の中を色鮮やかに染め上げていた。

そんなお店の前で立ち止まり、真剣にウエディングドレスを見つめている。彼女がそんな真剣な目をしながら考えていることは、恐らく一つだけだろう。


「着てみたい?」

「うん、いつか二人で着たいよね」


いきなりプロポーズされてしまったので照れてしまう。なんだか急に全身が外の寒さを忘れさせるように暑くなってきてしまった。うぅぅ~、あちち……。


——しかしウエディングドレスを着るとなると、結婚式を開かなければいけないはずだ。

多分、女性同士でも結婚式自体は開くことができるのだろうが……結婚、結婚か~。

出来るのならしたいとは思っている……しかしそれは、今の私たちが出来ないことの一つなのだ。私たちの力だけではどうにもできないほどの、大きく強固な壁がそこにはそびえ立っている。


それでも何とかしたいと思うのは、彼女との関係をもっと深いものにしたい、形に残したいと思っているからだ。どうにかできないかと思い、スマホで調べていたら気になる投稿を見つけた。


それは二人のVTuberさんが、「私たちは結婚しました」という報告をしている投稿だった。私はその投稿を見つけて、今の自分が知る世界があまりにも小さ過ぎることに気付かされた。


——あぁ、すごいなぁ。そんな考えは私には思い浮かばなかった。私はきっと、この時代の考えに囚われてしまっていたのだろう。けれど彼女たちは違った。自分たちの愛を自由に育んでいるし、世の中にいる私たちの関係のような人達に、希望を与えてくれるような活動をしてくれている。すごいと思うし、その在り方に憧れる。


無言で真剣にドレスを観ていた彼女に、そんなお二人の投稿を見せてあげる。私のスマホの画面を見た彼女は、最初はとても眩しいものを観るような目をしていたが、画面から目を離した時にはなにか決意を固めたような目をしていた。そんな彼女が私の方を見て口を開く。


「私たちもいつか必ず結婚しようね!」


そう言って、彼女が眩しい笑顔を見せてくれる。彼女はきっと、私のことや、これからの未来のこととか、沢山のことを考えてその言葉を私に伝えてくれたのだろう。

嬉しいし、彼女を好きになって良かったなと思う。なら今の私がするべきことは、彼女の覚悟に応えてあげることだ。


「うん、絶対にしようね、絶対に——」


そう言って私は彼女の覚悟を私も一緒に背負っていくこと誓う。私たちの願いを叶えるために歩む道はきっと長く険しいものなのだろう。

けれど、私は確信している。その未来は必ず来るものだと。


彼女が私が口にした言葉で、優しい笑顔を見せてくれる。

そんな彼女と顔を合わせながら、私はいつか来る未来に思いを馳せる———。


「とりあえず、結婚式の日取りだけでも決めておく?」

「うーん……もう少しお金貯めてからの方がいいんじゃないかなぁ?」


私たちは残りの帰り道を、ドレスの色は何にしよう、結婚式はどこでやろう、なんて話し合いながら帰るのだった———。


———私たちが望む世界は自由な世界。自由に愛を伝えて、育んで、さらけ出せる、そんな世界。それは必ずやってくる。彼女たちと一緒ならそう思える。だから私たちはこれかも彼女たちを応援して、誰もが自由な恋をする———、そんな世界になるように願っていくのだ。


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