思い出の品
口羽龍
思い出の品
2月の下旬、次郎は荷物をまとめていた。明日、4年間の大学生活で暮らした東京を後にする。そして、岐阜の実家にに戻ろうとしている。いろいろあった4年間だけど、いい思い出だった。成長するためにやって来た東京。とても充実した4年間だった。4年間でとても強くなれた。そして、恋もした。だけど、明日で東京での生活は終わる。来月下旬の卒業式を終えると、高知県で教員として新しい生活を送る。どんなことが起こるのか、わからないけれど、自分を信じて頑張っていこう。
「東京での生活はもうすぐ終わりか。残念だな」
次郎は東京の夜景を見ていた。今日も東京の夜景は美しい。見慣れた東京の光景も、もうすぐ終わりだ。高層ビルの多く立ち並ぶ風景、美しい夜景、何もかも憧れの風景だ。だが、明日からはもう見られなくなる。寂しいけれど、再来週から新しい生活を始めるのだ。いったん実家に戻り、それから高知県で新しい生活を始める予定だ。すでに進路は決まっている。
見ていると、東京での4年間が走馬灯のようによみがえる。いろんな出会いがあった。そんな4年間だが、恋はこれからも遠距離恋愛で続いていく。だから、ちっとも寂しくない。
と、次郎はスカイツリーのグッズを見つけた。昔は飾ってたけど、今はもう箱の中だ。懐かしいな。新居には飾ってみようかな? 2人の思い出の品だから。
「あっ、これはスカイツリーに行った時の品だ」
次郎はスカイツリーに行った時の事を思い出した。東京に住み始めて、真っ先に行きたいと思ったのは、スカイツリーだ。東京の新しい電波塔で、テレビでしか見た事がない。こんなのができたんだと思い、いつか自分も行ってみたいと思った。そこから見た東京の景色は、とても感動的だったな。昨日、お名残りに再びスカイツリーに行き、天望デッキから東京の景色を見た。今度東京に行ったら、また行きたいな。だけど、いつになるんだろう。全くわからない。
「スカイツリーから東京を見た時の感動は、すごかったな」
次郎は思った。今度は家族と東京に行き、スカイツリーに行きたいな。家族にも天望デッキから見る東京の景色を見て、感動してほしい。ここに行った人でしかわからない感動があるから。
「また東京に行きたいな。そして、スカイツリーに行きたいな」
次郎は新居のようにすっからかんになった部屋を見て、また東京での日々を思い出した。初めて恋に落ちた時は本当に嬉しかったな。この恋がいつまでも続けばいいと思っている。いつかプロポーズして、結婚できたらな。
と、次郎はまた何かを見つけた。それはミッキーマウスのぬいぐるみだ。それを見て、次郎は恋人と東京ディズニーリゾートに行った時の事を思い出した。何度か東京ディズニーリゾートに行った事があるが、恋人と行ったのは初めてだ。いつもとは違う雰囲気で楽しかったし、いい思い出だったな。結婚して子供ができたら、また行ってみたいな。
「あっ、これはディズニーリゾートに行った時の事だ。ガールフレンドと行った時の事、思い出すな」
次郎は恋人と出会った時の事を思い出した。一緒の講義に出る事が多く、とても仲良くなれた。仲良くなったら、講義で隣の席になる事が多くなった。講義の時は集中してたけど、それ以外はとても仲が良かった。出会って数ヶ月で交際を始めた。そして、一緒に喫茶店や居酒屋に行くようになった。同じ学科の大学生や大学の関係者からも仲の良さを言われ、2人はやがて結婚するのではと思われた。それを聞いて、2人は照れたという。だが、今では将来結婚するのかと聞かれると、うなずくぐらい仲が良くなった。いつになるかわからないけど、いつかは結婚できたらいいな。そのためには、双方の両親の了解が必要だけど、きっとうまくいくだろう。だって、こんなに仲がいいのだから。
「少し離れ離れになるけど、恋は続く。そしていつか、プロポーズするんだ!」
次郎は思った。これから離れ離れになっても、恋人との仲は続いていく。離れ離れになっても、メールやテレビ電話でやり取りをしよう。そして、大型連休には東京で会おう。そして、思い出の場所をめぐり、お互いの日々を話そう。
「就職活動も大変だったな。だけど、やっぱり自分は教員だな。憧れだったから」
次郎は教員になるための採用試験の他に、就職活動もした。どっちも受かったけど、やっぱり憧れだった教員がいいな。両親が教員だ。そんな両親の背中を見て育ち、いつか自分も教員になりたいと思った。そして、自分は教員になる事ができた。両親は教員になれた事を、本当に喜びんだ。そして、これからも頑張っていこうと思った。今の目標はないが、両親のような教員になるのが夢だ。
そろそろ寝る時間だ。明日は引っ越す日だ。東京を離れる日だ。次郎は今一度、東京の夜景を見た。明日からこの風景を見る事ができない。今日はしっかりとこの夜景を目にとどめておこう。
「さてと、寝よう」
次郎は部屋の明かりを消し、ベッドに横になり、目を閉じた。明日がいい日になりますように。
思い出の品 口羽龍 @ryo_kuchiba
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