XII

次の日、


私は皐月神社に向かうと


あの男の子は先に着いていたようだった。


それよりもここは知らない町だが、


何故だか家の場所は変わらなかった。


なんでなんだろう。


「そういえばあなたの名前は何?」


そう私が聞くと


「流坂 雪」


と答えた。


苗字が同じ...。


「私の名前は─────」


「雨音でしょ。知ってるから言わなくていい」


なんで知ってるんだろう。


私、前に言ってたっけ?




皐月神社の地下に入ると雪はどんどん奥へ


進んで行った。


まるで元々この場所を知っていたかのように。


地下には水があって水面に鳥居が建っていた。


とても綺麗で儚げな雰囲気がした。


その時、


「ごめん!遅れちゃった!!」


と元気な声と共に、


あの女の子が目の前に現れ、


急に真剣な顔をしながら


「じゃあ本当のこと、話すね」と言った。


𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎






𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎


「じゃあ私の本当の名前は雪で君が雨音ってこと...?」


「多分ね」


なんでそんな平気でいられるのだろう。


なんでずっと冷静なんだろう。


そういえばあの夢の時、


この子はなんて言ってたんだろう。

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