ペステフィア

こどくのマスター

未知の世界

「はぁ…明日も塾か…」

ため息をつきながら暗い道を歩く一人の少年がいる。この少年の名は白沢公人(はくさわきみと)、小学5年生だ。勉強熱心な親の元で育った公人は、毎日夜遅くまで塾に通っている。そのせいで、友達と遊ぶ時間も作れず、学校ではいつも一人で勉強をしている。

「みんなは楽しそうでいいな…僕もみんなと遊びたいな…」

そんな事を言ってると、暗い道が急に明るくなり、あまりのまぶしさに公人はとっさに目を閉じた。10秒くらいたつと、眩しく感じなくなってきたので、公人はゆっくりと目を開けた。すると、そこには銀色の壁が広がっており、目の前には青の肌をした人間が立っていた。


公人は困惑しながら周りを見渡した。銀色の丸い壁に囲まれた、広めの部屋があり、目の前には青の肌をした人間が立っていた。恐怖で固まっていると、目の前の人間が喋り出した。

「安心しろ、私はお前に危害を加えるつもりはない。」

目の前の人間が言ってることは聞いたことのない言語だった。しかし、公人にはなんて言ってるかが分かった。困惑する公人を無視して、目の前の人間は話し続けた。

「単刀直入に言おう、私は宇宙人だ。この地球から520億光年離れたアレティスアン銀河に所属するペステフィアという星に住んでる。これからお前をペステフィアに連れていく。」

突然の話に公人は理解することができなかった。目の前の人間が宇宙人?これから自分はペステフィアという星に連れてかれる?意味がわからない。そんな事があるわけがない。公人はそう思い、こう言った。

「いや、そんな事があるわけ…」

公人は喋ってる途中で違和感に気づいた。なんと無意識に公人は知らない言語を話していたのだ。またもや公人は困惑した。そんな公人を見た宇宙人は公人にこう言った。

「窓の外を見てみるか?」

「は、はい…」

公人はまた自分が知らない言語を話したことに気づいた。それを聞いた宇宙人は壁にあったボタンを押した。すると、壁に窓ができた。公人が窓を覗き込むと、そこには地球の姿があった。その近くには月の姿があった。

「これから太陽系のスペースインターチェンジに入る。そうして12時間くらいすると、ペステフィアに着く。」

「スペースインターチェンジ?なんですかそれ。」公人がそう聞くと、宇宙人はこう答えた。

「地球で例えると高速道路のインターチェンジみたいなものだ。宇宙では光速を超えることはできないので、ワープ線という異空間の道を通って目的地に行く。そのワープ線の出入り口のことをスペースインターチェンジと言う。」

公人はへぇという感じの顔をした。まだこの宇宙人が言うことを信じ切ることはできないが、それでも面白い話だとは思った。

「そういえば自己紹介がまだだったな。私の名前はケーリヒル・アーリファターだ。宇宙連合と言うところで働いている。」

それを聞いて公人も自己紹介をした。

「僕の名前は白沢公人です。」

「ああ、知っている。事前に調べたからな。」

公人はアーリファターからいろんな宇宙のことについて聞いた。宇宙にはテーリヴィルという星が主体の宇宙連合という組織があり、その組織が宇宙の秩序を保っている事や、ツァートリベスという独裁政権の星が地球くらいの文明の星、第1文明の星を侵略して、問題になってる事など。公人は話を聞いているうちに、アーリファターが言ってることは本当のことだと思い始めた。そこで、公人にはある1つの疑問が思い浮かんだ。

「そういえば、何でアーリファターさんは僕のことを拉致してるんですか?」

アーリファターは考えるような素振りをして、こう言った。

「今はまだ言うことは出来ない。」

公人は何かあるんだろうと察した。

「そうなんですね。ちなみに、ペステフィアに行ったあと僕はどういうふうに暮らすんですか?」

「お前はペステフィアの南半球のラフィリー圏というところにある、ラフィリー圏政府が用意した住居で暮らすぞ。」

「仕事とかはあるんですか?」

「あるぞ。ペステフィアにも会社や店があるから、そういうところで働けるぞ。ペステフィアでは年齢を問わず色んな奴が働いてるから、お前の年齢でも働けるぞ。」

「人工知能とかはないんですか?」

「ペステフィアでは人工知能と人が一緒に働くようになっているからお前も働けるぞ。」

「そうなんですね。そういえば、ペステフィアでは年月をどういうふうに表すんですか?」

「地球で言う西暦は、ペステフィアではパリスレクトと言う。ペステフィアの1年は370日で、1ネグリスバーンと言う。月は10個あってそれぞれ1月はアーツベリ、2月はサーツべリ、3月はリーツべリ、4月はファーツベリ、5月はエーツベリ、6月はセーツベリ、7月はネーツべリ、8月はクーツベリ、9月はミーツベリ、10月はツーツベリだ。そして一月につき37日で、1日は地球と同じ24時間だ。地球でいう曜日は無い。」

公人はアーリファターの話を聞いているうちに眠くなってきた。そして、気づいたら寝てしまった。

12時間後

目を覚ますと公人は柔らかいベッドの上で寝ていた。体にはフワフワの毛布のようなものがかかっていた。公人は身体を起こした。

「起きたか。ほら、これ見てみろ。」

アーリファターが指をさす先には窓があり、窓には大きな星があった。

「これがペステフィアだ。」

ペステフィアの見た目は地球と似ていた。海があって、大陸があって、島があって、近くには緑色の月のようなものもあった。

「これが…ペステフィア…」

「ペステフィアはあのシグースリべと言う恒星を370日かけて1周する。」

アーリファターが指差した先には白い恒星があった。

「もうすぐセリユーズ宇宙港に着陸するから椅子に座れ。」

アーリファターがそう言うと椅子が出てきた。公人はその椅子に座り、シートベルトをつけた。すると、急に宇宙船が揺れ始めた。公人が心配そうにしてると、アーリファターがこう言った。

「安心しろ、大気圏に突入してるだけだ。すぐに揺れが収まる。」

少しすると本当に揺れが収まった。もう少しすると完全に揺れがなくなった。公人はシートベルトを外し立った。すると、目の前に扉が現れ、開いた。開いた先には空港のような人工物が見え、滑走路のようなものや、宇宙船のようなものもあった。呆気にとられてると、アーリファターが公人の手を取って宇宙船を降りるように促した。すると、公人はゆっくりと歩きだし、宇宙船を降りた。

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