俺が恋した人は「春」そのものだった

こむぎ/Okome

第1話 桜の木の下で

俺の学校の通り道には神社がある。


だが、通り過ぎているだけで


実際に鳥居の奥には行ったことがない。


しかし、俺以外の人達は昨日訪れたらしい。


なんでかって?


そりゃあ、お花見だったからだよ。








俺は学校帰り、その神社に寄った。


理由は自分でも分からない。


多分暇だったのだろう。


それはともかく、昨日の花見で至る所に


ゴミが落ちている。


何もすることがない暇人の俺は


花見のゴミを拾うことにした。






しかし、拾っても拾ってもキリがない。


そんなとき、


俺の目の前にたくさんの桜の木があった。


「綺麗だな....」


と俺が見とれていると、


ザァァァァッという音と共に


桜吹雪が俺の視界を奪っていった。




数分後、俺は瞑っていた目を開けると


そこには1人の女の子が立っていた。


その子は桜の木と同様、見とれるほどの美人だった。


だが、さっきまでがこんな子いなかったはず....


そんなことを考えていると


「ねぇ、、貴方、名前は?」


突如、その子が俺の名前を聞いてきた。


俺は咄嗟に「涼」と自分の名前を答えた。


知らない人に自分の個人情報を話すなど


不用心だなと自分でも思ったが、


何故か答えずにはいられなかった。


「涼....私の名前は凪」


俺が聞く前にその子は自分の名前が


凪だということを俺に話した。


しかし、その日はそれ以外話さなかった。


気づいたら居なくなっていたからだ。


今までの中で不思議な体験だと思った。




次の日、俺は友達の「由依」と「悠」と一緒に


学校へ向かった。


そいつらは、名前の初めの文字が


共通していることから、みんなには


「ゆゆコンビ」と呼ばれていた。


ゆゆコンビに凪の話をしたら、


「凪ってあれじゃね?あの~.....なんだっけ..」


「2年の先輩でしょ!!」


「なんかクールでモテてるんだって~」


と言っていた。


同じ学校の生徒だったのか。しかも、先輩...。


「てか学校遅刻するじゃん!!早く行こ!!」


と由依が急かす。


登校中だということをすっかり忘れていた。


凪先輩のことはまた後で考えることにしよう。

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