第252話

「ああ……お休み、綾子。」





『おやすみなさい、慧悟さん………』





そう言うと、直ぐに眠りに就いた綾子を余所に、妙に意識が冴える。





彼女を…真在子と重ねて抱き締めたい衝動に駆られる。






(何考えてるんだ……)





自分の欲求に歯痒く惑わされそうになる。





追い討ちを駆ける様に女の匂いが鼻空をくすぶる。





仄かに抱き締めたくなる様な甘い香り………





今の俺には危険過ぎる。

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