第161話

「分かった……夜遅くまでご苦労だったな。」




“では、失礼します。”




運転手の手島(てじま)は車を走らせ、俺は家へと入る。






『おかえりなさい!慧悟さん……』




「ただ今。まだ起きてたのか……」




抱き付く綾子を離し、彼女の頬へと口付けを落とす。




『慧悟さんにあいさつしてから寝ようと思って。』




「遅くなる事が多いから余り無理するな……」




『でも……慧悟さんに口づけしてもらわないと嫌なんだもん……』




大きな瞳を少し伏せる綾子の頭を撫でる。

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