第12話

パタン……―――





「真在子………」




彼女の部屋に入るや否や、直ぐ様傍に寄る。




どうやら、深く眠りに就いてる様。




俺は、真在子の頬に手を当て感触を……温もりを確かめる。






「遅くなった………」




彼女の耳元にそっと囁く。




そっと……挟む。





ビクン………――




『…う…ん………』




(寝てる時でも感じるのか……)





可愛い奴………




眠る真在子に愛おしさが湧く。




もうお前の耳にも婚約話、聞いてるのだろうな。




「後免な………」




傷付かせたく無い…が、自分の思いとは裏腹に邪魔が入る。




華賀美の時もそうだ。




あの時も親父の反対に遭った。




そして今度は知らずに婚約される……しかも相手は、綾子。




妹の様にしか思ってない事は親父も知ってる筈。

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