たべごろ
キングスマン
後編
天井から吊るされた
階段状の席には、この日のために用意した
絶滅した植物の
バチン、と響く何かしらの仕掛けが動く音。
ステージの端から誰かの足音とキャスターの回転音が近づいてきた。
黒いスーツ姿の若い男が台車を押しながら登場すると、彼はステージの中央で立ち止まった。
人々が注目するのは、台車にのせられているもの。
発泡スチロール製の正方形の大きな箱。
そこには金剛石のように輝く透きとおった氷がいくつも積まれ、その頂点には一つの赤い肉塊があった。
誰もがそれに目を奪われている。
「紳士、淑女、どちらにも該当しないみなさま、大変長らくお待たせしました」若い男の声が会場にこだまする。「本日の目玉はこちらの『いい肉』でございます」
会場がどよめく。
「こちらの詳細は、まあいうまでもないでしょう。みなさまの熱いまなざしで商品が
会場のあちらこちらから笑い声がもれる。
ただしそれも一瞬で、次の瞬間、会場のいたることろから殺気だった声で金額が釣り上げられていく。
いい肉が変える金額はいい服が変える金額になり、いい服が買える金額はいい車が買える金額になり、いい車が買える金額はいい家が買える金額になり、いい家が買える金額はいい土地が買える金額になり、いい土地が買える金額はいい国が買える金額になったところで、それが
fin
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