初対面の少年と愛し合わなければ解放されない宇宙船に拉致された美少女JK

手塚エマ

第一章 初対面

第1話 異変

 今朝はなぜだかまぶしすぎるぐらいに天井灯天井灯がつけっぱなしになっていた。

 昨日の夜に消し忘れたかな。

 私はベッドのサイドボードを探ろうとして異変に気付いた。


 ガバリと上半身を起こした私は周囲を見渡す。

 右手の方は白いカーテン仕切られている。あとは手術室のように数々の電子機器が置かれていて、ベッドも白く手術用の台だった。

 部屋では時を刻む無機質で正確な音だけが響いている。


 ただ、身体には何のくだも挿されていない。

 昨日の夜に着て寝たパジャマのままだった。


「どういうこと?」


 台を下りた私が人を求めて声を出しかけた時だった。

 部屋のドアが押し開けられて、白衣を着たデブでチビで白髪のハゲ男が入ってきた。


「寝ざめはどうだね?」


 男はにこにこしながら私に近づき、頭の上から爪先までを視線で二往復した。まるでどこも故障がないかを確かめるような目つきで見た。


「ここはどこ?」

「君達、地球人の生体反応を研究するための宇宙船の内部と言えば良いのかな」

「宇宙船!? 地球人!?」


 私はありったけの声を出し、語尾をひっくり返していた。

 頭のおかしい団体か何かに拉致されてきたのだろうか。だとしても、別に特異なことは何もなく、平凡な私の生体反応を研究材料にするなんて。


「ちょっと下ろして! 下ろしてよ! 私なんてどこにでもいる女子高生だってば。研究材料になんてなりゃしないわよ」

「そうとも言えない。君は女子ボクサーの世界チャンピオンで、間もなく防衛戦を迎えるという稀有な女性だ」


 チビでデブの白髪のハゲは両手を背中で組見ながら、カーテンの方に近づいた。


「そして君のペアになるのは、この彼だ」


 シャッという音をさせて開かれた右手側には私が寝かせられていた部屋をシンメトリーにしたような部屋だった。

 やはりどうしていいのかわからないといった顔つきの少年が、台の上に座っていた。

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