第3話
白い階段を上がって、右手にある部屋が母のいる202号室だ。
そっと、ドアを開けると、中から笑い声が聞こえる。
寝たきりの母の真横で、笑って立っている背の高い女の子がいた。きっと、あの子が水面ちゃんだな。
ベッドに近づいて母の顔を覗くと、こちらもガリガリに痩せ細っているが、弱弱しく笑っていた。水面ちゃんは可愛らしい顔に、笑うとえくぼがみえる。ちょうど、背はぼくよりも頭一つ低い感じだった。
何よりも病室のベッドに注ぐような涼しい風に、水面ちゃんの長い髪がなびくようは、とても綺麗で儚かった。
白衣を着た医者が来た。
母の容態を鑑み。
ぼくにちょっと、とドアの方を向いた。
ぼくは付いていくと、廊下で医者は、母は明日にも危ないかも知れないので、その間。水面ちゃんとできるだけ仲良くしていてほしいと言った。彼女は話せないのだが、彼女も明日辺りから危ないといっている。
ぼくには信じられなかったが、医者が嘘を言っても仕方がない。その証拠に医者の次のセリフを聞いて、ぼくの中で愕然とし、納得をした。
「彼女は悪性新生物。上皮内癌なんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます