「魂の灯火（ともしび）：愛を求める永遠の旅」

「帰還の約束」 序章（後編）2話

赤ん坊の産声は、静かな田舎の寒村に響き渡った。彼の名は アレン。石と泥で作られた粗末な家は、隙間風が常に吹き込み、冬の寒さが骨身にしみた。病弱な父親と昼夜働き続ける母親のもと、アレンは貧しさの中に生まれた。しかし、その小さな体には、どんな嵐にも消えない光が宿っていた。

年月は流れ、試練の日々が続いた。

幼い頃から、アレンは家族を支えるために働いた。夏の焼けつく太陽の下で畑を耕し、冬の凍てつく森で薪を拾い、泥だらけになりながらも懸命に生きた。学校へ行く余裕はなく、夜はぼろぼろの毛布にくるまり、古びた本を読み、村の司祭から教わった物語に夢を見た。

ある日、アレンは町へ食べ物を売りに行く途中、大雨に見舞われ、果物をすべて泥の中に落としてしまった。拾い集めても、傷だらけの果物は売り物にならなかった。その夜、彼は母親に泣きながら謝ったが、母親は静かに抱きしめ、「あなたが無事でいてくれてよかった」と言った。その言葉がアレンの胸に深く刻まれた。

しかし、ある寒い夜がすべてを変えた。

星空を見上げながら、アレンは心の底からつぶやいた。

「どうしてこんな人生なんだろう…。このまま何も変わらないのか…。」

その瞬間、胸の奥に不思議な感覚が広がった。それは言葉ではなく、温かな光のような何かだった。

——「愛を思い出しなさい。」——

その声は風のように静かで、確かだった。

翌日、アレンは泣いている幼い子供を見つけた。母親とはぐれたその子を安心させるため、手をつないで村中を駆け回り、ついに母親を見つけた時、その親子の抱擁に胸が熱くなった。

別の日、倒れた老人に自分の薄い上着をかけ、震える体で森へ薪を拾いに行った。凍える夜を耐え抜いたが、次の日、村人たちは彼の行いを知り、少しずつ助け合いの輪が広がっていった。

「愛を思い出す。」

その言葉がアレンの心に深く根づいた。どんなに貧しくとも、笑顔を忘れず、親切な心を持ち続けた。孤独な人々を支えることで、アレン自身も孤独から解放されていった。

数十年後、アレンは村で尊敬される老人となった。

その優しさと深い愛に触れた人々は、彼を 「光の人」 と呼んだ。しかし彼はいつも笑って言った。

「私はただ、愛を思い出しただけだよ。」

その夜、星がひときわ輝いた。アレンは静かに目を閉じ、安らかな最期を迎えた。光に包まれ、再びあの優しい声が聞こえた。

「帰ってきたね。」

アレンは静かに答えた。

「私は愛を学びました。そして、与えることで受け取ることも。」

声は微笑んだ。

「そうだ。すべての試練は、その気づきのためにあったのだよ。」

魂は満たされていた。それでも、しばらくの沈黙の後、再びつぶやいた。

「まだもっと学びたい。次は…愛されることを受け入れる方法を。」

声は優しく響いた。

「では、もう一度行こう。どんな人生を選ぶ？」

アレンの魂は迷うことなく言った。

「どんなに愛されても、自分を許せないような人生を。自分の価値を思い出すために。」

光は再び輝きを増し、新たな旅が始まった。

そして、どこかの国、どこかの家で、新たな産声が響き渡った。

終わり、そして始まり。