第7話

 洗濯が終わる頃、家のチャイムが鳴った。ドアを開けると、金髪ウェーブの女性が立っていた。

「あれ、洗濯してたの?」

「あ、うん。まあね」

「昨日洗濯したばかりだよ、あたしが。あ、もしかして、またエロい夢でも見たんでしょ?」

「ああ、見たかもしれない」

 僕がそっぽを向いて言うと、松本さんは僕をベッドまで連れていった。

「どうせ、あたしも夢の存在なんだから、たくさんエッチなことしよ? ね、五十嵐くん」

 僕はそこでハッとした。

「松本さんは僕の名前知ってるの?」

「当たり前じゃん、どこに彼氏の名前を知らない彼女がいるのよ。君は五十嵐翔太。あたし、松本里英の恋人」

 僕はスッキリしたことで、里英を何度も抱いた。


「ああ、またやっちゃったよ」

 夢から目覚めると、下着がぐっしょりと濡れていた。私はパンツを洗濯する事にした。洗濯を待っている間、ぼーっと本棚を眺めていると、買った覚えのない本が並んでいた。

「『夢の名残りを』? こんな本買ったっけ?」

 とりあえず中身を読んでみる。


 ※


 これは夢である。だから何をしていいという訳ではないのだが、この空間が私の頭の中で起きていることであることは理解して頂きたい。

 どんな奇想天外なことが起きても、それは夢という名のもとに直ちに許されるものである。


 さて。


 私はいま高いマンションの屋上から飛び降りている最中だ。飛び降りようとしているのではない。もうすでに飛び降りているのだ。

 心配しなくても良い。これは夢なのだから。今から記憶を辿ることになるのだが、どうしても記憶というものは上手く整理できないもので、時系列というのは割と曖昧になりやすい。それを踏まえて、これを読んで欲しい。


 では、旅を始めよう。


 ※

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