異世界・オブ・ザ・デット~社畜の俺がゾンビ・パンデミックでサバイバル能力を得たら・・・

マックス一郎

第1話 未知との遭遇

仕事帰りにスーパーへ寄ったはずだが、急に光に包まれたと思ったら、いきなり大草原の真ん中に立っていた。

おっと、失礼、自己紹介まだでした。


「私、サトウ商業株式会社、営業部の山中太郎と申します。」


名刺は出そうと思ったが、誰もいなくて、止めた。まだ平社員だしな。

空を見上げてみたのだが、まだ昼間という印象を見受けた。

先ほど直帰で近所のスーパーで買い物を終えたら、夜になっていたはずなのに。

この空がおかしかった。太陽は一つだが昼間なのに薄らと見える月が二つあるので明らかに川崎市ところ、日本じゃないな、絶対に。


ちょっと考えないと、普通に考えればあり得ないことだ。

俺は現実主義者なので冷静に分析してみる。


かの有名なフィクション探偵シャーロック・ホームズ曰く

「全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙な事であっても、それが真実となる。」


かの有名なイギリス人詩人、バイロン卿

「事実は小説よりも奇なり。」


9割の俺は認めたくないが好きな小説、【ワールド・ウォーZ】の引き用を思い出したので1割の俺はその認めたくない姿勢を全否定した。

「10番目の男というルールだ。もし仲間のうち9人が同じ情報をみて全く同じ結論に行き着いた時、10番目の男はそれに反する論証をする義務がある。どんなに奇抜に思えても 10番目の男は他の9人が間違っているという仮説を探らなくてはならない。」


まだ認めなくないが尊敬するシャ〇・シャア・アズ〇ブルを思い出した。


「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを。」


そして全俺は結論した:


「異世界に転移したことは確実であると・・・」


なろう系の王道の展開じゃないか。

それならそろそろエルフや冒険者が出てきてもいいんじゃないかな。


それにしても俺の装備は貧弱と言わざるえない。ヨレヨレのスーツ姿だし。


今は持っているのは仕事用のカバン、スマートフォン、スーパーの買い物袋だけ。

スーパーで買ったのはお惣菜の鶏もも肉唐揚げ、ウーロン茶2リットルのペットボトル、サトウのごはん(並盛)だけだ。ビールは買おうと思ったが、明日は休日出勤なので止めた。


「何もないに等しいじゃん。」


取り合えず大草原を見えわたる限り、見つめた。


「あれ?1キロメートルほど先に三つの人影がこちらに近づいているよ・・ゆっくりとな・・・」


ゆっくりと動いているようで全俺が会議した。


俺1「取り合えず、近づいてみようぜ。」


俺2「敵意あるかもしれないので隠れるのはベストだぜ。」


俺3「言葉が通じるか否かわからんぞ。」


俺4「それにしてもぎこちない動きだな・・怪しいぜ。」


俺5「ぎこちない動き?・・・それはあなたの感想ですよね?」


全俺会議を中断し、三つの人影の方向に目を向けた。念のため、目も細めた。

明らかにおかしいな動きだ。


「情報がない以上、情報を得るため、近づくしか方法がない。第一、ずっと立っている俺のことは向こうも気づいているはず・・・」


念のために仕事用のカバンの中身を確認した。

ステンレス定規600mm、筆記用具、スマートフォンの充電器、どうでもいい書類だけだ。もし、その三つの人影が友好的ではなかった場合、ステンレス定規とウーロン茶のペットボトルは取り合えず武器になるかな。


「考えても埒が明かないので、近づいてみる。」


俺は人影のところへ向けて、歩き出した。

敵意がないことを示すため、両手を上げた。右手に買い物袋、左手に仕事用カバンをぶら下げたままだけど。


「おい!!俺はタローだよ、異世界から転移したよ!!」


にこやかに声もかけてみた。


距離をつめればつむほど3つの人影の動きがおかしかった。


「おい!!・・・」


距離は100メートルのところで強烈な悪臭に気づいた。

そして目を細めて、こちらに向かってくる三つの人影を見た。


先頭を歩ていたのは王道ファンタジーの種族代表、エルフだった。

男性で耳が長く、金髪の長い髪、緑色の服。

その次は黒い全身鎧を着た騎士、おそらく人族だと思った。

最後には女性だった。黒髪の赤い服が着ていた。


ぎこちない動きの理由と悪臭の原因は同時にわかった。

3人はどう見ても、明らかに、疑うことなく・・・ゾンビだった。











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