死の延長線

羽根衣

記憶

私はやっと物心がついてきた頃、こんな会話をしたことがある。




「ねえ、お父さん!人間って死んじゃったらどうなるの?」


「お父さんにもわからないなあ…どうなるんだろうね。」


「お母さん教えてくれないんだもん、お手紙とかくれないのかな?」


「じゃあお父さんが死んだら聞いてきてあげようか」


「いいの!?絶対教えてね!」





子供ながらに率直で質量のある疑問だったと思う、“死んだらどうなるのか”なんて。

父もわかるはずがなかった。なぜなら、今意識を持てる肉体で死んだことがないから。

そんな未知で儚く、それでいて淡い死という存在に踏み込もうとしているのが澄根熱華、16歳である。

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