第2話 真っ暗闇
「汚れるからズボンと靴を用意しといて」
年末のどこに誰と行けばこのセリフが
聞けるのだろうか。
僕と氷は耳を疑った。
大晦日に伊賀、伊賀の彼女、氷と向かったのは
とある小さなライブハウスだった。
今日はここでアイドルのライブがあるらしい。
僕も伊賀も専門学生時代にはアイドルグループの
ファンでテレビなどメディアで活躍する
アイドルのライブや握手会などに参加していた。
そんな大きなグループとは異なり、
今回行くのはいわゆる地下アイドルである。
格安店でズボンと靴を買い会場へ向かう。
ライブハウスはとても狭くフロアは
学校の教室より小さかった。
こんなライブ会場で汚れるだなんて
たかが知れてるだろ…
と思っていたライブ前の自分を殴りたい。
ライブが始まった瞬間、
ステージからはお酒が撒かれ始め
オタクたちは負けまいと
何かもわからないものを投げ始める。
こんな狭い空間が一瞬でカオスに。
床はお酒とオタクたちの投げた何かが混ざり合い
滑りやすい状態に。
次々とこけていくオタクたちだが
熱狂が静まることはない。
なんなんだよこれは。
あっけにとられて隅で立ち尽くしていたが
アイドルたちがステージから降り客席へ。
手にはお酒の入ったバケツ。
あ、来る…
と同時に目の前は真っ暗。
視界は闇へと誘われた。
刺激を求めていた僕でもこの時だけは思った。
もう2度と来ない、と。
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