不運なTS少女はチート武器と共に一攫千金を狙いたい

さんばん煎じ @WGS所属

プロローグ:この世界について

 時は2XXX年。人類は未曾有みぞうの大災害に見舞われた。


 事の発端は2○○○年4月1日。突如として「ワームホール」と呼ばれる正体不明の黒点が出現した。

 ワームホールはまるで空間を抉り取るようにして出現した黒点で、記録されていた限りでは10万を優に超えていたという。

 4月1日以降、この黒点は徐々に世界各国に広がり、そして4月31日。ワームホールから後に「ノンドゥム」と呼ばれる正体不明の化物が大量に現れた。

 現れたノンドゥムは、都市という都市を襲撃し、建物を破壊し、住民を虐殺し、ノンドゥムのみが生息する悲惨な生態系へと作り変えていき、世界各地に壊滅的な被害を与えていった。

 そうはさせまいと各国はノンドゥムに対し軍隊を総動員して対処に当たったが、敢え無く返り討ちに合ってしまい、逆に各国の政治家や首脳までもが無惨に殺されていく。その光景はまさしくこの世の終わりと呼ぶに相応しいものだった。


 このまま人類はノンドゥムに絶滅させられるのか。辛うじて生き残った人類は壊滅した都市を見つめ、生きる希望を失いかけていた――その時だった。

 生き残っていた一人に、とあるが目覚めたのだ。

 『原初の異能力者』と呼ばれた彼は、その力を使ってノンドゥムを倒していった。それを皮切りに生き残っていた他の者達も力に目覚めていき、最終的に人類はノンドゥムをワームホールへと撤退させていき、ついには地球から排除する事に成功した。

 それから時は過ぎていき……ノンドゥムの発生源であるワームホールに対して政府が本格的な調査が始まった。その結果、ある成果があった。


 一つは、能力が正体不明のエネルギー『魔力』によって発生した事。

 一つは、ワームホール内には、摩訶不思議な迷宮……『ダンジョン』が広がっていた事。

 そして最後に、ダンジョンには金銀財宝が眠っている事。


 各国の政府はダンジョンに眠る資源に目をつけ、唯一ダンジョン内を探索出来る異能力者……彼らを『攻略者』と称してそれ専用の組織を設立し、ダンジョンへと送り出した。


 そこから時は進んでいき、20年程の月日が過ぎた。

 各国の政府はより効率的にダンジョン内の資源を収穫するため、太平洋に巨大な海上都市を建設した。名を『日向ひなた』という。

 発展した科学技術により、世界各地へと散らばっていたワームホールは日向へと集合していき、以来この世界では多くの攻略者が日向へ移住し、未だ眠る財宝を求めてダンジョンへと潜っている。


「よし。お〜い、百合ゆり。そろそろダンジョンに潜るぞ〜。配信の準備しとけ〜」


 どうやら、また攻略者がダンジョンへと潜るようだ――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る