季節と共に!

Veroki-Kika

プロローグ 2人の秘密

三花みかです!

12歳の冒険者!野々村剣君と村岡レモンちゃんと,一緒に冒険してるの!

剣君とレモンちゃんは生まれた時からずーっと一緒の幼馴染。

生まれた日,生まれた場所,育った場所まで一緒。

2人はちょっと前,一緒に冒険しようって三花に言ってきたんだ。

そこで一緒にいたんだけど…

少し前,レモンちゃんが消えちゃったの。

剣君がいうには兼鬼けんきって言う鬼に捕まったんだって。

「三花さん。今から,僕らの秘密を話します。

きっと…レモンもしらない…」

レモンちゃんも知らない秘密…?

「今からそれを話します」


これは昔から,僕の実家・野々村家に伝わる伝説。

今から約1億年前(この世界は,実際の世界とは異なります),兼鬼の総大将・里組りくみは,世界を闇に染めつつ,自分は大好物である希望を全て食べ尽くしたんだ。

希望は,体の中で闇に変え,パワーアップできるし,里組は希望が大好きなんだ。

でも,全て食べ尽くしてしまい,残っている希望を探した。

そこで見つけたのは,自然神,と言う自然を操ることができるチカラを持った希望の子だ。

この人を,宇宙そらって言う。

里組は,その宇宙に興味を持った。

調べていたんだ。ずっと,里組は宇宙のことを。

そして,宇宙から希望が取れることを知った。

でも…このことに気がつくのは,遅かったんだ。

もう,野生の兼鬼が宇宙を殺してしまっていた。

そこで,里組は別のことに気がついた。そして,一旦自身の体を封印させるんだ。

その1億年ほど後に,また自然神の子が生まれてくるとわかったから。

そして,その生まれ変わりがレモンなんだ…


剣君は話し終えた後,下を向いてしまった。三花は剣君の肩を掴む。

「剣君。レモンちゃんは,必ず助けよう!」

そう言うと,剣君はしっかりと頷いた。


「ん……あ…れ…?剣兄…どこ…」

知らない部屋で,わたし・村岡レモンは目を覚ました。

豪華なベットにティーテーブルと椅子。小さな小窓がついてる。

わたしは鏡から目を離して,もう1度部屋を見渡した。

薄暗くてわたし以外誰もいないみたい。

「それに…この服…」

わたし,黄色いパーカーにデニムの半ズボンを履いてたはずなのに…

今着ているのは白いワンピース。腰のあたりにはリボンがついてる…

「おや。目を覚ましたかい?」

「えっ?」

気がつくと,知らない男が,部屋の入り口のドアに1人の男がもたれかかっていた。

年は…中学生くらいかな。かなりのイケメンだ。

興味ないけど…

「ここは…どこなんですか…?」

「ここは,闇の城だよ」

「なんでわたしがここに…剣兄達は無事なんですか?あなたって…」

「ふふふ。質問がいっぱいだね。まず,君がここにいるのは,ボクが捕まえたからだね。そして,キミのお仲間は無事だよ」

男はわたしに近づいてくる。

そしてわたしの顔を持ち上げてわたしの目をまじまじと見た。

わたしの目の色は,少し珍しいんだ。薄い赤と濃い黄色。

「綺麗なオッドアイだね。……の時よりも…」

「は,早く出してください!剣兄,きっと急にいなくなったわたしを心配してる…!」

そうだよ…剣兄のとこに戻んなきゃ…

「それはダメだよ。

そして,ボクはキミを逃すつもりはない。永遠にね」

その言葉に,わたしは凍りつく。

どーいうこと…?

「あれ?知らない?キミ…もしかして自分が自然神ってこと自覚してない?」

「自然神?」

今度は相手が驚く番だった。しばらく固まっていた。

「知らないんだ…はぁ。じゃあボクが説明してあげるよ。

キミは,全人類にただ1人の自然神だ。そして,カンタンに言えば希望の姫。

そしてボクは闇の王。普段ならキミを消しているんだけどね…

実はボク,希望を闇に変えてチカラにできるんだ。昔,希望を食べたらすごく美味しくてね。キミはとってもとっても希望が出てくる。

そこで,キミを捕まえて,ずっとボクのために希望を出し続けてもらおうと思ってね」

「そ,そんなのっ。それにわたし,希望の出し方なんて…」

「それは大丈夫。ボクに任せて。それまで休んでいるといい」

そう言うと男は,部屋から出ていった。

ドアの鍵がかかる音がする。

閉じ込められたって…本当に…

わたしは,小さな窓の近くに座り込んだ。

「剣兄…助けて…」

暗闇の中,わたしの胸のネックレスだけが,ほんのり輝いていた。

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