予告編5『ドッキリ大成功! 恐怖の大王降臨』

 その日、地上に訪れる日であったが、恐怖の大王は所用で行くことができなかった。あらゆる生物、神々から恐怖の大王は非難された。

 ところが、本来、滅ぼされるはずであった人間たちからは温かい言葉が投げ掛けられた。

「ありがとう(来なくて)」

 だから、恐怖の大王は人間が一番好きになった。

 そんな人間は、何が喜ぶのだろうか──?

 研究を重ね、テレビでみた。

『ドッキリ大成功!』

 人々の笑い声──これなら、自分も出来るかもしれない。

 恐怖の大王は考えた。

 だから──地上を滅ぼした。


 そして、三百六十五日後。恐怖の大王は再び地上を訪れた。

「え、あれ? 嘘。本当に居ないんだけど……」

 人間が居なかった。

 居ない、居ない、居ない──。

 どれだけ探しても、どこを探しても人間はいない。恐怖の大王は涙した。その時であった。

──ガサッ!

 音がして振り向くと、そこに人間の男を見付けた。

 その時──恐怖の大王は感情が高鳴るのを感じた。やはり、私は人間が好きだ。


 プラカードを掲げようとする恐怖の大王に、悪しき魔物たちが自暴自棄になって襲い掛かる。

 絶望したすべてのモンスターたちを滅ぼし、モンスターたちの屍の山を踏み台にしながら恐怖の大王は予定通りにプラカードを掲げた。

「ドッキリ大成功!!」


 次回──。

『ドッキリ大成功! 恐怖の大王降臨』


「いや、もうドッキリとかじゃないじゃん。この状況……」

 こうして、モンスターの大半が死滅し、再び地上に人間たちの楽園が築かれていくことになるのであった。

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