はないちもんめ 1人台本（不問1）

第1話

ふふ、私の勝ち。

じゃあ、始めるね。

かって うれしい はないちもんめ

まけて くやしい はないちもんめ

たんす ながもち どのこがほしい

どのこじゃ わからん

そうだん しましょ

そうしましょ

……

…ねぇ、どの子がいいと思う？

見た目で選ぶか、強そうな子を選ぶか…。

うーん…。

……

……

よし、決めた。

右の子！右端の子がいい！

あの子、名前なんて言うの？

…教えてよ、じゃないと続けられないじゃない。

ねぇ、なんていう子なの？

…もう、おーしーえーてーよー。

あなただって一人じゃ寂しいでしょ？だからお友だちを連れてきてあげるの。

ほら、名前は？

……さつきちゃん？

へぇ、さつきちゃんっていうんだ！

じゃあ、さつきちゃんにするね！

さつきちゃんが ほーしい！

……

……

じゃあ、行ってくるね？

（どさり）

えへへ、勝っちゃった！

これでさつきちゃんが来てくれたから、ちょっと寂しくなくなったよね！

…うーん、でも。

もうちょっとお友だち、ほしいね？

だって、一人だけだと飽きちゃうもんね？

よし、じゃあもう一回！

…はい、じゃーんけーん、ぽん！

お、今度も私の勝ち！

じゃあ行くよーっ！

かって うれしい はないちもんめ

まけて くやしい はないちもんめ

たんす ながもち どのこがほしい

どのこじゃ わからん

そうだん しましょ

そうしましょ

……

……

さて、次はどうしよっか？

左の子か、真ん中の子か…あるいは、さつきちゃんの隣にいた子か…。

…うん、左の子だな。左の子がいい！

左の子の名前、教えて！

……え、なんて？

よく聞こえなかった、もう一回言って？

……うーん、声が震えててイマイチ聞き取れないなぁ。

ちゃんと教えてくれないと、困っちゃうんだけどなぁ？

…なになに？

みずきちゃん！みずきちゃんって言うんだ！

よし、じゃあ次は、

みずきちゃんが ほーしい！

……

……

（どさり）

えへへ、友だちいっぱい！嬉しいね！

ね、嬉しいでしょう？

嬉しいときは、笑うんだよ？こう、にぃーって！

涙なんて流したら、まるで泣いてるみたいだよ？笑って笑って！

そんなに寂しいなら、もう一人連れてきてあげるよ。ね？

かって うれしい はないちもんめ

まけて くやしい はないちもんめ

たんす ながもち どのこがほしい

どのこじゃ わからん

そうだん しましょ

そうしましょ

……

……

……

選んでいいよ。

どっちの子がいい？

右？それとも真ん中？

…ふみなちゃん？

それってどっち？真ん中？右？

…わかった、右ね。

ふみなちゃんが ほーしい！

……

……

さぁ、いよいよ最後だね。

これで最後の子を連れてきたら、ちっとも寂しくないでしょう？

最後の子を連れてきたら。

いよいよあなたは出発するの。

川を、どんぶら、どんぶら渡ってね、

あ、荷物は全部おばあさんにあげるのよ、

そして、門をくぐったら、さいご。

あなたは地獄へ真っ逆さま。

大丈夫、大事な、大切なお友だちと一緒に行くんだから。怖くないよ。

人を呪わば穴二つ。

あなたがあそび半分で私を呪って殺したのだから、あなたも相応の報いを受けるべきなのよ。

ねぇ、ひとを虐（いじ）めて楽しかった？

ひとを貶（おとし）めて楽しかった？

楽しいよね、だってあなた、ずっと笑ってたもの。

だから私、あなたが逝くときも、笑ってあげるの。

笑（わら）って、破顔（わら）って、嗤（わら）ってあげる。

さぁ、道連れにする最後のお友だちの名前を教えて。

…言っちゃうんだ。

ほんと、どうしようもないね。

かって うれしい はないちもんめ

まけて くやしい はないちもんめ

……

……