きょうふの…
@maruo888
第1話
きょうふの…
と、くれば確実に思うのは
きょうふのみそしる
料理をしているお母さんに尋ねると
「今日 麩の味噌汁」
と、答えるアレだ
しかしながら
リアル恐怖の味噌汁が実在したんだよ
オレの家は漁師をやっている父がいて
母は地元の市場で働いている
そのお陰で生計が成り立っている
僕は…!?
言わずがともな…
ある日 父が初めて見る魚を釣り上げたそうな
鱗は七色に輝き
瞳は大きく
背びれはまるで金髪の髪の毛がひらひらゆらゆらしているかのように美しい
胸びれなど ほぼ手ではないかと思うような繊細さ
ジュゴンが人魚と言われているが
本当はこの魚が人魚に見られていたのではないのだろうか?
と、いうくらい美しいのだ
あまりの眩さに
どこにも出さず
家にある風呂のような水槽で密かに育てていた
時間があれば水槽へと足繁く足を運ぶ父
だんだんと、漁へ出る時間も回数も減っていった
市場へ働きに行くものの
それを快く思わない母
どうやら美しさに魅入られるのは男だけらしい
遂に 暴挙に出たのだ
美しい魚はどうなったか
恐ろしくて口には出せないことだ…
だが結果としては
美しい魚は生きている
最近我が家で見掛けなくなった者がいる
父だ…
魚をかばい続けた父の行方は知らない
父親が蒸発してしまっていては不便だろう…と、
父の代わりに最近 やたらと母の弟が顔を出して手伝いに来てくれるのだ
料理もお手の物 と、いろいろ作ってくれる
そして冒頭の
みそ汁の具材は何が入っているのか不明のままだが かつて無いほどの旨さであり
毎日美味しくいただいている
そして美しい魚だが
邪魔立てするものもなく
僕一人がずっと愛でている
なんだかんだ
一番 得をしているのは 僕ではなかろうか!?
今日も 美しい魚をじっと愛でる…
そんな僕たちを
後ろから叔父が見ているとも知らずにね…
きょうふの… @maruo888
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