第13話、メイド裁縫

 アレクは、飛竜である、”ジラント”に乗って田園地帯の上を飛んでいる。

 離れた所に小さな村が見えた。


 一人でドラゴンを倒した、”メイド”がいるという噂を聞いた。

「ここか」

 飛竜の背中から地上を見た。

 地面に何か大きなものが落ちてひきづった様な跡がある。

「ということはこっちか」

 落ちてきたと思われる方角に飛竜を飛ばす。

「ここいらかな」

 地上に下りた。


「百八あるメイド殺法さっぽうその47、メイド鑑定サーチ


 ――ふむ、なかなかの、”残留メイドオーラ”だ

「ここでメイドレーザーが撃たれたな」

「近くの村で聞いてみるか」

「行こう、ジラント」

 グル

 薄茶色をした飛竜に飛び乗った。


 村についた。

 村の広場に簡単なテントを張って商品を並べる。


「メイドさん?」

「ああ、いたいた」

「確かに一人だったよ」

「ピカーーッて凄い光った後、ドラゴンが居なくなったよ」

 村のおばちゃんたちが話してくれた。


 ヒラリ


「で、こっちはメイド服かい」


「そうだよー、メイドの本場、メイドゥーン製だよ」  


 ガチャリ


「これは」


侍女女サムライ用のメイド甲冑だね」

 耐刃、耐化学性能の高いハイパーケプラー製。

 金属製の白いエプロンアーマー。

 両肩に大袖がつく。

侍女女サムライ用の大太刀もあるよ」


 フニョリ


「こっちは」


「某、紅い館で流行った豊胸パッドだね」

「パッ◯チョーになれるよ」


「でも服のサイズが合わないよお」

 恰幅のいいおばちゃんが言う。


「サイズ合わせも何なら、オーダーメイドも出来るよ」


 自分もメイドゥーン王家の端くれ。

 布地からメイド服を作ることなど造作もないことだ(キリッ)。


「あはは、でも似合わないよっ」

 おばちゃんが豪快に笑う。


「マダ~ム、メイド服は女性の美を体現したもの」

「メイド服の似合わない女性はこの世に存在しませんよっ(キリリ)」

「それから、今夜旦那さんと盛り上がること請け合いですよっ」


「まっ、一着いただこうかしらっ」


「まいどあり~」


 後に、この村を中心にメイド服が流行することになるのは別の話だ。


「そうそう、メイドさんは、街のギルドから来たよ」


「街のギルドですか」


「そうそう、ドラゴン退治を依頼したからね」


「そうですか、教えてくれてありがとうございます」

 その後、街の大体の位置を聞く。


「百八あるメイド殺法さっぽうその5、メイド裁縫っ」


 おばちゃんの他、三着ほど、布地からメイド服をオーダーメイドした後、街に向けて出発した。

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